最後まで下がらない名作
もらいタバコのジーン
かつてドーワー王国では12の地区による一斉クーデターが起きました。そして各地区ごとに自治を認め、現在では13の自治体で構成されています。そしてこのクーデター後は国家行政機関ACCA(アッカ)を設立。各自治区の業務・治安・生活を監視しています。しかし平穏になった現代、”ACCAは役目を終えた”との意見が出ていました。
ある日”もらいタバコのジーン”と呼ばれる監察課副課長ジーン・オータスが出勤すると、”監察課の廃止”が決定していました。突然の事で各局員は戸惑いますが、ジーンはいつもと変わらずマイペース。そして巡視・視察へ出発するのですが、現地でACCA局員による不正を見抜きます。同局員の不祥事とはいえ摘発できたのも監察課。重要性が再認識され、監察課の存続がきまります。しかしこのジーンの周りは、本人も知らずの内に騒がしくなっていくのでした。
”鳥の形”をした王国と各区
ドーワー王国は13の自治体から構成されており、各地区で特徴・自治方針が大きく異なっています。各地区と特徴についてサラッと置きます(13あって分かり辛いからね)。頭から尻尾、そして離島と並べています。

ビッラー巨大な湖(鳥の目)があり、鳥冠が西端という横長の区。とにかく寒いため、作物が厳選されています。じゃがいもとビールを生産・出荷しており、それなりの生活ができている。
バードンー王国首都であり、最東端のくちばしの先にあるハッパ?実?に位置します。
コロレーー鳥のくちばしに位置します。女性が活躍している区で、ACCAの制服は身体のラインに合わせたピッタリ設計。
スイツー北部に位置しており、格差が大きい区。他区との交流も制限され、とても閉塞的であり、幾度もクーデター未遂が起こっているという、美味しそうな名前とは真逆の厳しい区。
ドーワーー真ん中に位置する王族の居住区。古い町並みの観光地で近代化が進んでいます。
ジュモークー国の東南で海に面した鳥胸の辺り。平均身長2.5mという住民が”大きさ”をネタに巨大農産物を作るという楽しそうな区。
ロックスー北の鳥腰部。男性が長髪という特徴。10年以上前に起こった列車事故では、発車駅であるペシ区と揉めますが、争いを避けるために全責任をロックスがかぶります。そんな知性と男気のある区。
プラネッター中央部に位置していますが、砂漠化している区で財政難。ACCAの制服もなく、私服にワッペンです。住民は地下資源を掘り当てたい!という夢追い人達。
ヤッカラープラネッタの中にあるという不思議な場所。プラネッタよりも夢追い人で、カジノがあったり一攫千金を求めたりな住民。何かあればすぐ賭ける。
フラワウー鳥の腹部に位置しています。資源が豊富で街には花が飾られています。しかし赴任したACCA局員たちは何故だか自信を失い、指示なしでは動けない人間になるという”裏”を臭わせる区。
ファーマスー鳥のお尻にあり農業が盛ん。農作物は国の9割を占めており、物価が安く犯罪率も1番低いというなんだか理想的な区。
ペシー鳥の尻尾に位置しており、多くの島があります。そのため釣りポイントが多いという釣り師の楽園。おっとりな印象の区ですが、過去の列車事故では責任がないと強く主張しました。
ハレー南に浮かぶ最南端の島。長寿の区で高齢者が元気すぎる。半袖・短パンが主流。
以上13地区がドーワー王国となります。このそれぞれの地区で”今の暮らし”や”よりよい暮らし”を求めて人々は生きていました。
ACCAは何のためにあるのか
国王の年齢が上り、後継者はちょっと賢くない若輩王子様。ACCAはお役御免という話も彼の発言からでした。仕事の虫であるジーンは”今”を望んでいます。しかし周囲がジーンを物騒なモノに巻き込もうとしていました。これは”ACCAという組織は誰の視点で動いているのか”という物語。変革か現状維持か、それはある意味監察課ACCAの仕事でもあるのでした。
ノンビリ昼行燈なお話かと思えばとんでもない。伏線・同線・相互関係が入り混じったガッツリな社会派で、人間模様も様々なヒューマンで。大きな展開なのに脱力感の強いマイペースで社畜なジーンは、”本当の仕事”についてよく理解していました。自分を貫いたジーンの胆力と脱力に脱帽。ラストで”ハッ”とさせられる、今を守る為の選択はジーンにしか出来ないことでしたよ。
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