ユースケ版が好みです
知能増進研究
藤島ハルは夜間障害者学校の生徒。昼間は同じ職場で、ハル同様に知的障害を持つ田代ミキとイジメに耐えながらパン屋で働いています。2人の担任教師である遠矢エリナは「教える意味があるのか?」と疑問を持ちながら過ごしています。そんなエリナに友人が紹介した教授は「知能を回復させる手術を受けさせませんか?」と持ち掛けてきました、
生徒を実験に使うような手術に激怒したエリナですが、色々と問題を起こすハルを見ていると悩みが出ます。本人に決めさせた結果、ハルは手術を受ける事にしました。術後、同じ手術を受けた天才ネズミのアルジャーノンと迷路勝負をします。負け続けていたハルですが、数日で勝利。そして急速に知能が上がり「天才」と化したハルは、膨大な知識を詰め込んでいくのでした。
お勧めはユースケ・サンタマリア
あどけない演技でたどたどしい話し方のハルを演じたユースケ。術後の天才になる過程の自惚れや感情の変化は、本当に人が変わっていきます。知能が上がる=別人という解釈がよくわかる、まさに怪演でした。希望と絶望を入り混ぜながら天才の苦悩を感じさせる姿で、ユースケ・サンタマリアは本当に良い俳優だと証明しました。
小説も山P版も見ていますが、感情移入しやすいのがユースケ版でした。あれですよ、カッコ良くない所に共感みたいな。もっさりした感じが受け入れやすく、天才になった嫌味ったらしい姿も清々しい程嫌いになれます。その上で同情して胸が詰まってしまうのはユースケ作品ならではでした。
急激に知能が上がることの弊害
知能が上がるとは賢くなる・理解できるようになるだけではありません。悪意を感じたり自分の感情も複雑になります。天才になったハルは同じアルジャーノンの姿と自分を照らし合わせ、そして自分の結末を知ってしまいます。ハルが複雑に悩む姿と、天才が故に自分の結末を知る。そんなストーリーが「知能が上がる事は幸せである」を否定します。
この作品、題名を原題からいじらずにストレートに邦題にしています。この題名にはハルと他研究員たちのアルジャーノンに対する感謝と謝罪が詰まっています。伏線を知っているので見返そうとしても第1話から涙が・・・天才ネズミのアルジャーノンに乾杯を。
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