じっくり言葉責めタイプでした
田舎の村で大事件!?
1950年代イギリスの田舎コッツウォルズは景色が美しいが何もない村です。ここには難解な出来事に首を突っ込むことが大好きなブラウン神父が住んでいました。ぼんやりした見た目・行動とは違い、ちょっと皮肉屋で何か起こるとじっとしていられないブラウン神父は、長年信者たちの懺悔や相談を受けてきた経験と観察眼は鋭いものです。
この日コッツウォルズでは、ボーハン神父がパーティーを開いて村中の人が集まっています。賑やかで穏やかなパーティーなのですが、そこにボーハン牧師の弟ノーマンが現れます。ノーマンは高利貸しで態度も悪く、村中の人から嫌われていました。そんなノーマンですが、この日何者かに後頭部を殴打され絶命します。犯人候補が多すぎるこの事件、当然ブラウン神父は首を突っ込んでいくのでした。

ブラウン神父の童心 (創元推理文庫)
すごく地味なスルメ感
ブラウンは”神父”というだけあって心優しく、とても情け深い人物。事件解明に対しての興味・好奇心は強いのですが、本人は探偵という立場ではありません。なので真実を明らかにする時でも犯人に対して常に真摯な対応をしていました。
しかし本人にそのつもりはありませんが、物静かに示唆する姿に犯人は狼狽します。”追い詰めてないよ”と言いながら追い詰めている姿が印象的だったのが第1話。その後も心の闇を祓いながらも、しっかりと責任を果たすよう諭していきます。推理力より人間力な探偵でした。
観察眼と直感
”探偵”に必須となるのが観察眼と直感。推理力に優れていても、推理の為の材料をどれだけ正確に収集できるかで違いは出てきます。本作は神父が懇意にしている人たちが多い村で、感情に流されずに観察・推理できるかが難題でした。しかしブラウンにとっては起こってしまった事よりも、これからどうするかが大事でした。今後の為に犯罪理由を考察する辺りがホームズ・ポアロとは少し違っています。
本作には定番の”誤認逮捕役警部”も勿論登場します。軽い性格ながらもやるときゃやる!というお手伝い役も当然。こういうサブキャラがいるからこそ探偵達の慧眼が輝きます。この王道から外れない安定さと、解決よりも後の人生を憂う”神父”としての姿勢がブラウンの魅力。しかしあれです、ブラウン神父の周りでは小さな村でも何度も殺人が起きてしまいます。名探偵のサガですが悲しいですねえ・・・


コメント も、文句以外で・・・