人生は上手くいかない
43年経っても再び湧き上がる感情
妻を亡くした70歳のクロードは、現在では親友シェーンと共にそれなりに楽しい日々を送っています。舞台評論家だったクロードは、昔人気舞台女優だったリリィがアルツハイマー施設に入居した事を知ります。そして短期間ですが付き合っていたリリィの事を思い、当時の気持ちが再び湧き上がってしまうクロードでした。
そしてクロードはアルツハイマー施設に入る計画を起てます。娘家族にはシェーンと旅に出ると話し、医師の前では演技をしてアルツハイマーの診断書を入手します。そしてリリィの居る施設でもスタッフを騙し、まんまとアルツハイマー病棟に潜り込みました。そして出会えたリリィ。しかし彼女はクロードの事はおろか、自身の事も覚えておらず昔の2人の写真を見せても「お子様の写真?」と返答するばかり。それでもクロードはリリィに心を捧げていくのでした。
アルツハイマーと向き合ったクロードに拍手を
介護業界で働いている僕としてはクロードに賞賛の嵐(1人ですが)です。実際に症状が進んだ方と相対すると「10秒前の会話」も記憶にないのです。食後の食器を早く片付けてしまうと「まだ食べてない」、そんな事はしょっちゅうです。想い人であったとしても記憶を手繰るという行動は非常に大変なのです。
「施設に入居」しているので、服薬・行動・徘徊など日中監視されます。通常であれば発狂するこの環境に、更に重度設定なのでオムツも使用して頑張ったクロード。会話が噛み合わない、同じことを繰り返す、行動が理解できない、そんな周囲にも対応した彼は本当に介護士になるべきです。彼の周囲への対応はリリィに限らず優しく、面白かった。
忘れてしまったものを思い出せますか?
「記憶」というモノ自体が曖昧なもので、40年前の事なんて50歳でも詳細は無理です。クロードはそんな曖昧なモノを取り戻すために、猛勉強しながら自身も記憶を辿っていきます。美化された部分もあるでしょうが、当時の想いが蘇った彼にとってはリリィは当時と何も変わっていなかったのですね。
男性の方がロマンチストで愚かしいという良作。こんな怪しい作戦に文句を言いながらも(騙されてますが)手を貸した親友シェーンも同罪ですよね。本作は自分を忘れた相手に「愛してる」と伝えたい、そんな思いが溢れるウブな純愛映画でした。しかし海外の施設って庭が広くていいですなあ・・・
⇑ ”認知症”がリアルすぎるけど、これが現実・・・
コメント も、文句以外で・・・