観なくていいけど事件は知っておいて良い
異常な男の出所
オーストリアの刑務所から10年の刑期を終えて出所したこの男。見ず知らずの老婆をいきなり射殺し、実の母をナイフで刺す等、”傷つけたい”という衝動が抑えられない程強い存在。出所してすぐに次の標的を探していました。そしてカフェで女性客2人組に目を付けますが、他にも客がいるため店を出ました。
そしてタクシーに乗りますが、女性運転手だったせいか興奮し絞殺しようとします。運転手は気づいて逃げおおせ、男もタクシーから降りて静かな住宅街に辿り着きます。そして周囲に人気のない一軒家を見つけると寝室の窓を破り侵入。キッチンで包丁を見つけ手にすると、車で帰ってきた中年女性とその娘を物陰に隠れて待ち構えるのでした・・・
アルトライター一家惨殺事件
実話である本作、男の名はクニーシェック。そして襲われたのはアルトライター一家でした。最初に車椅子で生活しているヴァルターが襲われます。そして夕方、車で帰ってきたゲルトルーデとイングリットが縛られてしまいます。ゲルトルーデは強盗目的だと思い2万シリングの小切手を渡しますが、目的は暴行のため無視されました。
まずはヴァルターが素手で拷問されます。そしてゲルトルーデを引きずり回し3時間に及ぶ拷問。イングレットは8時間以上の拷問を受けたとされています。そして全員絞殺され、ペットの猫も殺害。その後クニーシェックは遺体の傍で眠ります。そして一家が所有しているベンツに遺体を詰め、2万シリングを換金しレストランで食事をします。この店の従業員の通報によってクニーシェックは逮捕となるのでした・・・
映画自体がグロく、嗜虐性が高いので苦手な方はこんな事件あったよ、だけでいいと思います。ふだんネタバレ避けてますが、今回は大筋この内容なので”観てね”とは書きませんので・・・
何をしても”精神障害”の主張が通る
クニーシェックが殺害や殺人未遂でも比較的短期間で出所できたのは、自身を”精神障害”であると主張していたからです。オーストリアはこの経緯から有罪判決を出すべきであった、とは認めますが”過去の事件”に対して刑を執行することはできませんでした。しかし流石にこのアルトライター事件の判決は終身刑にはなっています。死刑が無い国なので、実質的には最高刑となりました。
本当に胸糞物。事実をありのままに、こういう人間もいるんだ、という見せ方です。しかし流石に不穏すぎる作品。観た後に何も残らないので、観る側がどう受け取れるのかが疑問になります。”何をどう気を付けても、起こりえる最悪の出来事”という災害的な印象のこの事件。背景とこんな人物も実在する、という事は知っておいて損はないと思えます。邦題の”不安”というのは犯人側の男の心情なのか、それとも被害者側なのか・・・なんか理解しにくいな・・・




コメント も、文句以外で・・・