エドガー・ランポーの傑作!
薬を使わない精神科病院
1899年、とある大学でラム教授がヒステリーについて講義を行っています。実際の患者イライザ・グレーブスを教室に連れ、生徒達に「全ての精神病患者は自分が正気だと言い張るものだ。全ての犯罪者が自分は無実だと訴えるようにね。」と教えるのでした。そして数年後、医者になったエドワード・ニューゲートがラム教授の働く精神病院を訪れ、先進的な治療を学ぼうと実習を願うのでした。
出会った患者イライザ・グレーブス夫人。彼女の美しさに夫は異常な執着を示しており、それが原因でイライザはヒステリーを起こすようになっています。そんなイライザにエドワードは心奪われていました。ある夜職員と患者合同の食事会が開かれます。そしてこの日、エドワードは病院の本当の姿を知る事になるのでした・・・
先進的な治療
この病院では投薬を行わず、病院の敷地内ではありますが患者が完全に自由な生活を送れています。これはラム院長が”投薬・拘束では精神病は改善されない”という考えを持っている事が起因します。そして実際にこの精神病院は、穏やかで開放的な雰囲気があります。
この時代イギリスの精神病院とは、精神障害者の永続的な隔離を目的としていました。これは施設内で監禁されるという意味になります。本作はこの”隔離すべき”を前提とした時代に、”人間的で自由な生活を”目指した病院が舞台。とても立派なこの病院、でも院長は言ってます「耳にしても目にしても信じてはいけない」と。
院長は正しい?患者は間違っている?
イライザが冒頭に話していた「私は正常、助けて」と、教授の話す「犯罪者と同じで、自分は無実・正気だと訴える」。この両者の発言ですが、ではこの正否は誰が決めるのでしょうか?そう、実は教授(医者)という権力者が決めているのですよ・・・
穏やかな空気なのに不穏という、違和感作品。その違和感を埋めるのに3回程”え?まさかの?”という裏切り展開がありました。エドガー・ランポーのヒューマンホラーミステリーテイストが生かされており、誰が正気で誰が狂人なのかが見えない世界観がgood。嘘しかない本作で、真実に気づく事ができるのか!!っていう意外な結末に期待して下さい。
\サブスク引き籠り応援団です/
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