アンセル・エルゴートの魅力たっぷり
”天才的”はいつでも犯罪に誘われる
天才的なドライビングテクニックを持つベイビーは、人には言えない特殊な仕事を請け負っています。それは現金輸送車を狙った組織メンバーを逃がすという”逃がし屋”でした。組織のドクはベイビーの”いかれたテクニック”を目の前にし、「他のドライバーは使わない」と最大級の評価を与えています。
このベイビーが逃がし屋をする理由は”借金”でした。しかし返済の目途もつき、これから自由になる為自分の仕事を探し始めます。恋人もでき人生をやり直す岐路に立つベイビーに、再びドクが接触してきました。強制的に合衆国郵便強盗という大仕事を請け負う事になります。ベイビーはこの仕事を”裏稼業のラストドライブ”と決め顔を上げるのでした。
思惑重いストーリーだが爽快感溢れるカーアクション
軽いノリで流れていくようなストーリー展開なのですが、凄惨な過去を持ち”耳鳴り”の障害を持っているベイビー。更に輝く才能を持ちながらも、借金があり脅迫を受け強盗に手を貸しています。恋愛とか明るい兆しが見えても基本的にストーリー自体は重く作られていました。
そんな重さを吹き飛ばすのが”カーアクション”です。軽快な懐メロ(洋楽)とともにスバルが、シボレーが、ベンツがそれぞれの性能を発揮し、作中狭しと暴れ回っていきます。恐ろしく繊細で危険な運転をしているベイビーですが、自身は音楽を聴きながら冷静なハンドリング。周囲はヒヤッとしていますが、観ている僕達は”気分爽快”間違いなしです。
細かいリズムに気分が高揚
作品を引き上げているのが”リズム”です。銃撃シーンで耳を傾けてみると、発砲音が音楽にのっています。カーアクションでも同じ。しかも人や車の動きでもリズムを取るという、要所要所に散りばめられた目と耳で楽しむリズム感が本作の醍醐味になります。
懐かしい洋楽ヒット曲が流れる中で行われる、優雅で激しいカーアクションは観る者の心を鷲掴みます。走り出す!かと思えば「曲を巻き戻すから」と強盗の動きを止め、お気に入りのタイミング「GO!」と、あくまで音楽主体でマイペースなベイビーに”ニヤッ”としてしまうイケてる作品に満足しました。
⇑ エドガー・ライト作品ですが、こちらはダーク
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