理解できない人間は存在する
自分は特別
”ライムギ畑でつかまえて”のホールデン・コールフィールドの生まれ変わりと信じているマーク・ディヴィッド・チャップマン。1980年12月6日にニューヨークのホテルYMCAにチェック・イン。その目的はダコタハウスに住む世界的ミュージシャン、ジョン・レノンに会うためでした。
着替えて向かったダコタハウスの前は大勢のファンが出待ちしています。その一人ジュードという女性に声をかけると、2人は話しが合いました。彼女に勧められチャップマンはビートルズの新アルバムを購入し、そのアルバムにサインをして貰おうとします。しかしなかなかジョン・レノンと会うタイミングはありません。そして12月7日、チャップマンがジョン・レノンに対して苛立ちを覚える出来事が起こるのでした。
マーク・チャップマン
少年時代は荒れた一時もあるが優秀な人物。YMCAサマーキャンプで優秀指導員の賞を貰う等、未来を有望視されていた若者です。高校時代から友人の勧めで”ライムギ畑でつかまえて”にハマります。その後も結婚を約束した女性とテネシー州の大学に通い、問題ない一生を送りそうに見えました。
しかしこの頃から学業についていけず、婚約者を裏切り自殺願望が湧いてきます。その後は結婚・離婚という急激な環境の変化に、過度な飲酒と脅迫観念から衝動的で暴力的な行動が出てきます。そしてこの事件が発生し、69歳の現在でも服役中で現在でも殺害理由は「有名になりたかった。それに尽きる。」だと語ります。
世界を止めた男
チャップマンは”ライムギ畑で”に傾倒しており、主人公のホールデンに自分を重ねています。そして作中で出て来る”インチキ野郎”をジョン・レノンに当てははめていた、なんて当時は話していましたが、その実は”何か大きな事をしたかった”というだけの下らない話。救われて欲しくもないこの男ですが、有名になりたいという願望が叶ってしまったのが不愉快でした。
実話を元にチャップマンの心理描写をそのままに描いた本作。この事件を知りたい、と思う反面”知れば知るほど思うつぼ”とも考えてしまいます。現在では”有名に・・・”ではなく、反省の言葉もあるらしいのですが、願わくばこの男に関しては”生涯檻の中”で自分が誰からも認知されない存在と感じながら過ごして欲しい。誰の救いにもなりませんがね・・・
コメント も、文句以外で・・・