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必要なのは”古い・新しい”ではなく温故知新「騙し絵の牙」

騙し絵の牙 ☆映画あらすじと感想
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騙し絵の牙

3.5 出版社も時代についていかなければ・・・

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時代の変化と雑誌

大手出版社・薫風社新人編集者の高野恵が新人賞応募作品の中から新たな才能を見つけた頃、社長である伊庭喜之助が急死します。そして薫風社では次期社長は誰かという動きが活発化していきます。高野はお通夜の終わりに大物作家二階堂大作の作家人生40周年パーティーに参加し、薫風社の雑誌”トリニティー”の編集者速水輝と出会います。

この速水は過激な編集者として有名で、パーティーでも大物作家に“物言う姿勢”を見せます。さらに意見を求められた高野も釣られて「登場する女性の人物像が古いと感じます。」と口から出てしまいました。同会社である小説薫風と雑誌トリニティの間に大きな亀裂が入りますが、速水は高野を自分と同じく”時代の変化と共に”を求める者と認識するのでした。

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大胆・奇策・お茶目

出版業界に訪れている”廃刊”の危機。さらに陰謀渦巻く大手出版社のゴタゴタの中に颯爽と現れたのが速水輝でした。大胆・奇策な手で注目を攫っていくのですが、その様子は”飄々”としています。風に柳のようなしなやかさで牙を見せる速水は憎めません。これって大泉洋そのもの・・・

原作小説の速水は元々大泉洋をイメージしていたとか。確かにそんなキャラでした。しかし映画は大きく改変されており、”同タイトルの別作品”として観てよろしいかと・・・。速水の家庭事情より出版社事情に焦点を充てたのが一番大きな違いですが、だから悪くなったとは感じません。奇抜でお茶目な大泉洋の、のらりくらり感は損なわれていませんのでご安心を。

古いだけでは取り残され、新しいだけではすぐ消える

頭の固い大手出版社古臭い大物作家若者の言葉はどこにも届きません。しかし今までの土台を築いてきた過去の遺産を捨て去る必要はありません。古きを理解しながら新しい風を取り入れる、難しい事です。温故知新を実践するのは速水なのか、それとも他の誰かなのか・・・

”騙し”という題名にちょっと違和感を感じますが、中々ドンデン返しを繰り返してくれました。伏線も多くなかなか深読みして観れた作品。電子書籍化やamazonの台頭といった、現代に合った業界事情が垣間見れた気がします。後は観た後の感想として、”世界でこの店舗にしかないハードカバー書籍、いくらでなら買う?”というのは面白い視点でした。

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