Kinkyって程、変態ではない
人生の重みに耐える靴が欲しい
三代続く紳士靴専門プライス社。後を継ぐ気がなかったチャーリーですが、父の死によって突然社長となります。しかし実情は倒産寸前、在庫不良。やけ酒をあおったチャーリーは、家路で男に絡まれる女性を助けます。しかし女性が振り回す靴に頭をぶつけ気絶するのでした。
目が覚めるとそこは劇場の控室。そして助けたのはローラと名乗る女装した大柄の男性。ローラはチャーリーの顔の傷と、壊れた靴を見ながら「どれも私の人生の重みに耐えられないの」と話します。そして思いついたのが”ドラァグ・クイーン専用ブーツ”でした。トントン拍子に話が進むのですが、試作品を見たローラは言い放ちます「赤よ、赤じゃないとダメよ。ぶっとい踵じゃなく、ヒールよ。求めているのは靴じゃなく、魂、SEXよ!!」唖然とする工場、果たしてこの結末は・・・
変化はするけど”柱”はぶれない
本作は経営困難となり”女装趣味男性向け靴”の開発を始めた、英国老舗W.J.Brookes Ltd社をモデルにしています。ローラのような存在が実在したかはわかりませんが、紳士靴の老舗がニッチ市場、それも女装趣味向け紳士靴に取り組んだというストーリーにドラマ性を感じます。
紳士靴だけではダメだった。だから女性物を作る、ではなくもっと狭くニッチな方向に変えたのは、あくまで”紳士靴”に拘ったからでしょう。この拘りが本作「キンキーブーツ」という名作を生み出し、同時にローラという”かっこいい人間像”も作りました。元ネタ会社は現存していませんが、映画・ミュージカルとして語り継がれていく事は永遠の誉だと思います。
ローラには徹底した美学がある
登場のっけから演技めいたセリフを披露するローラ。ブーツに対して曇りなく妥協することなく、まるで魂を入れるような入れ込みを見せます。”壊れてもいいから美しいブーツ、履くだけでモテるブーツ、女性を強く表現するブーツ”これには、単なる靴を求めているのではない!という強い意思を感じます。
そんな強い欲求を隠すことないローラですが、決して我が儘ではなく他者を思いやる心を持っています。辛い、を知っているからこそ誰も辛い目に遭って欲しくない、この美学がかっこいい!の秘訣。自分らしくあるために、他者の自分らしさも守る姿は人間としての魅力に溢れていました。ちょっと危うくローラに恋してしまいそうな作品ですので、視聴にはお気をつけて。
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