あと一歩!な作品
幸せをもたらす赤い花
研究者アリスは同僚のクリスと共に新種植物の開発を行っています。目指しているのは”香りで人を幸せにする”ことでした。シングルマザーのアリスは一人息子のジョーに、開発した赤い花を預け「温かい場所で水を与えて、愛してあげてね。」と話します。そして”リトル・ジョー”と名付け、まだ花の咲いていないリトル・ジョーを眺めました。
リトル・ジョーは無事大きく育ちます。社内で会議と説明会が行われますが、リトル・ジョーの花粉の影響等を考慮しマスク着用が義務付けされました。その裏には花が咲いてからというもの職員の愛犬が人を襲ったり、関わった人が何か性格が変わったように見受けられるという報告が上がっていたのでした。そしてアリスは息子ジョーの異変を感じているのでした。
”見えない何か”への対処が何かあれば面白かった
リトル・ジョーは改良を繰り返された新種植物で、オキシトシンという母性ホルモンを出しています。つまり、この植物の与える幸せとは”母親のように”という意味でした。しかし何かしら人体に悪影響が出ているように描写が続き、その結果なんだかウイルスのような扱いを受けています。そこに”感染”という恐怖感があり、奥底から冷えるようなスリルがありました。
何か分からないけど、何か起こっている、そんな雰囲気が漂う展開が続くため少し間延びした印象。事象の理由や内容も早めに出て来るし、大きなドンデン返しも特にないのが残念。目に見えない存在に対してはマスクしか対策が無く、バイオ企業なのに抜本的な施策がなく地味。しかし本作のスリラー要素は感染そのものではなく、リトル・ジョーのふりまくオキシトシンにありました。
生物だから起きた特殊感染
リトル・ジョーは遺伝子操作のため、次の種子を作る事ができない単一種。しかし母性本能を詰め込まれているため、繁殖のためには人間の力が必要と考えるのでした。人を幸せにすることと、リトル・ジョーが存続していく事を両立する答えは”リトル・ジョーを幸せにすることが唯一の幸せ”と感じさせることでした。怖いなコレ。
幸福感の価値について考えさせられます。確かに”それが幸せなら良い”のですが、この状態を洗脳と見るのか個人の選択と見るのか。例えばリトル・ジョーを優先して仕事辞める、すると家族との時間が取れる、リトル・ジョーを育てれば更に幸せ・・・損はない!?でも釈然としない、そんな疑問をふっかけてき挑戦的作品と捉えれます。悩みたい人全般にお勧めです(そんな人いるのかな?)。
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