真実は勝者が作る
リチャード3世を探せ
広告代理店に勤めるフィリッパ・ラングレーは職場で評価されておらず、プロジェクトを新人の女性に奪われる等と不当な扱いに苛立っています。そんな彼女はある日シェイクスピア劇”リチャード三世”を鑑賞します。しかしフィリッパはこのシェイクスピアの描く悪名高きリチャード3世像に納得がいきません。
文献・書籍を読破したフィリッパは、リチャード3世擁護派サークルにも参加してみます。そしてある日リチャード3世の幻が見え始めます。どんどん傾倒するフィリッパは、所在不明とされるリチャード3世の墓を見つけ、王家の元に埋葬するべきだと考え始めました。歴史研究では素人である彼女にリチャード3世を見つける事はできるはずもない・・・のだろうか・・・
真実はわからない
シェイクスピアの描くリチャード3世は、自身が王位に就いた後に不安要素として王位継承順位の高い王子達を暗殺します。その噂が広り反乱が起こると、自身は良心の呵責なのか夢で排除してきた者達が現れるようになりました。そして死に際「馬を! 馬をよこせ! 代わりに我が王国をくれてやる!」という有名な台詞を吐いて散っていきました。
30歳で王位に就き32歳で散ったリチャード3世を”悪役”として書いたシェイクスピア。この作品が強すぎて見事に名悪役となったリチャードですが、1485年の出来事を1564年生まれの作家が残した劇作品の一つ。リチャードを打ち負かしたチューダー朝の影響はあったでしょう。なんせシェイクスピア自身、会った事がない文献だけの存在を劇化したのですから。これは真実かどうか、ではなく定説なだけなのでした。
過去は書き変えられているのかも
文献・文章というのは”証拠”として有力な物です。しかし今回の墓探しは”この場所に何かある!”という、自身の直感を信じた女性の物語。新発見というのは得てしてこういうモノなんでしょう。専門家の足跡を辿っても同じ答えしか出ない筈ですから。
本作は実話(リチャードと会った事以外ですよ?)であり、現存の情報だけに惑わされない、考えるよりも行動を、という事が時には積み重ねた研究にも勝るという例の一つ。今回のように真実が過去にしかない、という何かを探す時はちょっと自分の勘を信じてみてもいいのかもしれない。
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