例えるならベースのように低音な作品
人付き合いが下手な男
アメリカ・ボストン郊外、アパートの”何でも屋”として働いている中年男性リー・チャンドラー。腕は良いのですが愛想が無く、しかも乱闘騒ぎを起こすことも再々。そんなリーに”兄のジョーが倒れた”という知らせが入ります。元々大きな病気を患っている兄を想い、病院へ急ぎます。
しかしリーが到着する頃にはジョーは絶命していました。遺体安置所でジョーを抱きしめ別れを告げます。今後の段取りも済ませていくのですが、ジョーの息子パトリックについては決めかねます。母が行方不明で独りになってしまったパトリック。昔は3人で船釣りを楽しんだ経緯もあり、リーが一時的に預かります。そしてこの出来事から少しずつリーに変化が起こっていくのでした。
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重低音なストーリー
昔はパトリックや兄のジョーと釣りをしていたリー。元々は明るく人懐こい性格でした。妻と3人の子供もおり、順風満帆な生活でしたが”火事”によって子供を失います。この事件をきっかけに自分を責め、「幸せになる資格なんてない。」と思い塞ぎ込んでいるのが現在です。
パトリックを預かる事を了承してはみるものの、”後見人にはなれない”と頑な姿勢。亡き兄ジョーとパトリック本人はリーの後見人を望んでいるのですが・・・。普通の生活を普通にこなすことで”生きること”は継続していますが、”過去”に囚われたままというリー。まったく明るくならない重低音な雰囲気が続いていきます。
辛い思い出は消せない
幸せの絶頂からどん底まで転落し自分を諦めます。変わらない日常を繰り返すことで、なんとなく立ち直ったように思い込みます。しかし、ふとした事で思い知ってしまうのです”まだ大丈夫じゃなかった”と。時間の経過では消せない傷を治す方法とは一体なんなのだろうか・・・。
3人の子供を亡くしたリーと、最愛の父を亡くしたパトリックの悲哀な友情が温かくも苦い。この2人が故郷であるマンチェスター・バイ・ザ・シーの街で少しずつ温かさを取り戻していくヒューマンドラマ。悲しい事を乗り越えるための手引き映画ですが、最後まで下腹に響く、まあ、あれよ、無理せず、ゆっくりでいいんだよ!って教えてくれる作品でした。
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