人ではなく企業が不適合
”リンゴ”の証言
リンゴと名乗る黒人は自身の事を”変装・金庫破りのプロ”と説明します。そして彼は他にプロと認めるアジア系の爆弾が得意な盗賊ウィック、女性ながら高い戦闘能力で暗殺業をこなすバイオレットを紹介。そして中東系で謎の男プリンスによって集められたこのメンバーの目的は、”金を盗むのは悪い奴らからだけ、それを人々に分け与える”という義賊的なものでした。
そしてメンバーは標的として世界的民間刑務所の経営者シュルツに目を付けます。刑務所に隠された”金塊”を盗む算段を立てますが、あまりに強固な監獄にお手上げ。そこでこの監獄から4回脱獄に成功した伝説の泥棒ペイスに目をつけ、さらりと脱獄した時を見逃すことなく身柄を確保します。そして金塊の話を出しますが「慈善事業に興味はない」と一蹴しアラブ・アブダビの高級ホテルに向かいました。そしてこのホテルのバーでペイスの運命が変わります。

刑務所とテロリスト
今回標的とされた民間刑務所ですが、当然きな臭い組織です。シュルツの刑務所にムスリム同胞団幹部ジェイソンが収監されます。しかしテロリストに恩を売る為にすぐに釈放。さらにはムスリムの保持する数百万ドル相当の金塊を刑務所内に隠します。そしてムスリム首領アブ・ヒラワと繋がりテロの資金源になっているというのが大筋。
間違いなく巨大組織であり、政府黙認なこの刑務所は社会にフィットしていない企業です。そこに立ち向かうのも社会にフィットしていない泥棒達。この”ミスフィット(社会不適合)”同士の戦いというのは、正義の矛盾という視点で盛り上がります。そしてこの作品では怪盗団ならではの策謀が張り巡らされており、ミスリード物としても良作でした。
コメディタッチでプロらしく
ペイスの考える作戦は中々に奇策。刑務所の服役囚を集団感染させパニックを起こすとか、絵面は悪いけど愉快な案。さらに金庫室に向かう作戦は”床爆破”ですが、これがざっくり感が否めません。奪い取った金塊を持ち去る為の2重・3重の罠は、”ちょっと賢い人がひっかかる”設定で考えられています。終始軽くお気軽に楽しめるユニークさがありました。
テンポ良くスピード感がありお洒落。カーチェイスあり爆破あり、飛行機からラクダまで活躍し、そして何よりピアース・ブロスナンのイケオジ感も健在。スパイ・シーフ物というkことで”007”や”オーシャンズ”と比較してしまうと少し路線が違いますが、単純に痛快コメディとして観れば満足な1本でした。

⇑ 義賊といえば「ロビンフッド」

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