親子そろってヤバイ
平凡な家庭の地味な夫は何者?
金型工場に勤めるハッチは妻と2人の子供に恵まれたサラリーマン。路線バスで職場に通い、火曜のゴミ捨てを忘れては妻から呆れられています。温厚な彼は自宅に強盗が押し入ったこの日も、大した金もないので被害も小さいと思い見逃します。しかし娘アビーが強盗にブレスレットを盗られたと嘆き始めるとハッチの様子が変わります。
ハッチは父が入居している老人ホームへ向かいます。そして父からFBIのバッジを預かると次は強盗が入れていたタトゥーを自分に入れます。飲み屋でタトゥーを見せ情報を聞き出すと、すぐさま強盗の家を見つけ出しました。強盗を殴りつけるも「ブレスレットは持っていない」と、ハッチは釈然としないまま帰りのバスに乗り込みます。このバス内にチンピラが乗り込み、乗客に嫌がらせを始めるとハッチは運転手を外に逃がし”うさばらし”を始めるのでした。
程よい強さのハッチ
ハッチの暴れっぷりは爽快ですが、本作のアクションシーンの良いところは”無敵ではない”部分です。チンピラ相手にいきなり殴られ、脇腹を刺された上に羽交い絞めまで喰らいます。数人相手とはいえチンピラクラスに血もつれになる姿は、映画のヒーローとは言えません。しかしこのスマートさを感じさせない”じゃが芋感”がとても好感でした。
アクションが始まってからは怒涛のお祭り騒ぎ。捕らえられボロボロになりながらの脱出劇や、常に「負けるのかもしれない」というハラハラを演出しています。こうやって思い出してみると、家庭でも映画の主人公としても華がなく、平凡に見えます。しかしこの作品には華がなくとも”味”がありました(じゃが芋なだけに!)。
元は危ないサイコパスだろ!
ストーリーに深みはありませんでしたが、登場人物にはコクがあります。アクション映画と思っていましたが、死体を並べて観客に見立てて話しかけたり、高級絵画を小脇に抱えて銃をぶっぱなしながら歩いて外に出るとか、殺し屋ではなく危険人物な印象。こんなヤバイ奴が社会にいるのか・・・と思う程ですが、元は”娘のブレスレットのため”という家族想いの良い父親です。身内以外に厳しいタイプ。
ハッチと危険な仲間達が目を引くこの作品。実は”挿入歌”に力が入っており、ニーナ・シモンやルーサー・アリスンといった、古めの曲を絡めて魅せています。エンドクレジットで流れるオリジナルも良く、やはりアクション映画は「音楽も合わせて観るモノ」と再確認できた作品。そして大切なことをもう一度書いておきますが、くれぐれも「ゴミ捨てを忘れてはいけません」。
コメント も、文句以外で・・・