事件までの前日譚
子供であるマーティン・ブライアントは花火をして火傷をします。周囲の友人は「もう花火はしないよ。」と話すのに対し、マーティンだけは「火傷は懲りたけど、花火はするよ。」と笑顔で答えました。それから青年へと育ったマーティンですが、未だに打ち上げ花火を毎晩楽しみ周囲から疎まれていました。知的障害を持つ彼に母親は「何か他の事をして」と話しています。
マーティンはサーフィンに興味を持ち、ボードを買う為”芝刈りする”と近所周りを始めます。ある日豪邸を構えて暮らすヘレン宅の庭の芝刈りをする事になります。老齢で単身、そして動物に囲まれて生活している彼女はマーティンを気に入ります。マーティンも同じくヘレンを気に入りました。そして2人は同居しますが、それもマーティンの知的障害の影響があり、不幸な終わりを告げます。さらにマーティンは父や友人を失い更なる孤立に向かうのでした。
Amazonプライム・ビデオ
ポート・アーサー事件
1996年4月28日、オーストラリアの観光地ポート・アーサーで大量殺人事件が起こります。カフェに訪れたマーティンは、ランチを終えた後スポーツバッグから銃器を取り出し銃を発砲し始めました。ここで20人が亡くなり10人以上の重軽傷者が出ます。更に移動しながら殺人を繰り返し、事件の解決となる翌朝までに死者35人となる大事件となりました。
逮捕後の知能テストで平均以下と判定されていますが、事前に現場の下見を行っており準備も入念だったことから35回の終身刑を宣告されます。そしてこの事件をきっかけに、オーストラリアは国全体で銃規制を導入する事になりました。しかし問題はこの犯行についての”動機”がわからないことでした。
孤立・絶望・怒り、ではなく異常
作中でマーティンは不幸な出来事に見舞われます。自業自得ではありますが本人に悪気はありません。上手く生きられないという強い疎外感を持っており、彼の心理状況の変化を通じて、家族と社会への問題提起・警鐘と言った意味合いを持ち合わせた作品として作られています。しかし僕は思うのです、この人は”異常”なのだと。
今現在、彼の気持ちは理解できても行動は理解できません。恐らく本人自身も理解できていないのです。”二トラム”という作品を観て、凄惨な事件を思い浮かべると吐き気がします。しかし現実に起こったこの事件、自分や周囲を護るため知っておいた方がいい。”誰とでも仲良くなんて事は夢物語”なんです。
コメント も、文句以外で・・・