不条理な世界すぎて良い
大金を手にした代償
1980年代テキサス州の西部で狩りに勤しむリュエリン・モス。たまたまアメリカとメキシコのギャングが銃撃戦で共倒れしている場面に出くわします。危険を察知し一度は帰ったモスですが、息のあった男が気になり現場に戻ります。そして200万ドルの入った鞄を見つけ持ち去りました。
麻薬取引に失敗し、大金の行方を探すアメリカギャングは殺し屋アントン・シガーを雇います。シガーは札束に仕掛けられた発信機を頼りに金と、持ち逃げた人間モスを追いかけ始めます。智恵と勘で逃亡を図るモスと、異常な狩人シガーの静かで苛烈な戦いが始まります。
原題の意味とは
原題は「No Country for Old Men」で”年寄りに居場所はない”的な意味。邦題「ノーカントリー」では”国がない”という意味になるので、このせいで作品のテーマが分かり辛くなってます。じっくり観ると感じるのは、これは保安官ベルの物語という事でした。
ベルはテキサス州西部地元の高齢保安官。彼はこの凄惨なギャングの抗争現場と、その後に起きているシガーVSモスの争いを近くで感じます。「昔は良かった」という懐古の想いが湧き上がったベル。そんな彼の心情が原題となっています。特にシガーの異常性を知ると、世界は一変するのでしょうなあ・・・
アントン・シガーという災害
素晴らしいヴィラン。まずは会話が微妙に成り立たない。持ち歩く武器(ガスボンベみたいな奴)は家畜銃ピストル。躊躇も情緒もなく表情が読めない。有名な下あごを出した笑みが不気味。歩く度に死体が増えるこの七三セミロングはすでに災害レベルの危険度でした。
このシガー役でゴールデングローブ、アカデミー賞(共に助演男優賞)を獲得したのはハビエル・バルデム。はまり役でしたが本人は”おかっぱが嫌だった”とか。どうやら本作は観た者と演じた者の両側に小さなトラウマを植え付けたようです。でもこの髪型、僕は好きですよ・・・



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