作り込まなければ騙せない
極秘作戦の提案
1943年の世界大戦中、英国の弁護士ユーエン・モンタギューは実はMI5の少佐。彼は今、その正体がバレる寸前まで追い詰められ、妻アイリスと子供達をアメリカに疎開させることにします。家族が去った後もモンタギューは弟アイヴァーと共に生活し、疑いが晴れるのを待っています。
現在英国はナチスに迫られており、現状打開のためイタリアのシチリア島進軍を計画しています。しかしナチスに気付かれないように動くのは至難。多方向から情報戦を行っていますが、今回モンタギューは”ミンスミート(ひき肉)作戦”をチャーチル首相に提案。それはシチリア侵攻の機密文書を持たせた偽将校の死体をナチスの手に渡し、侵攻場所を欺くという作戦でした。結果は如何に!?

本物を創る
成功のカギを握るのは死体の将校の存在。偽装将校の死体として路上生活者の死体を調達し、架空の人物”ビル・マーティン”と名付け少佐階級を与えました。そして海兵隊所属と軍内での立場を与えます。さらにこの将校には”恋人パム”が存在し、機密文書だけでなくラブレターと写真を大事に持たせました。
身分証明書にはよく似た人物の写真を使い、更に細かな性格も設定されます。最初は空から海に放り投げて流すという大胆な案でしたが、潜水艦で狙った海岸付近まで運び潮流に乗せると細かな修正も入っていきます。そうしてビル少佐が運ぶ機密文書はナチスの手に渡る準備が出来たのですが、偶然すぎないか疑問が涌きます。
出来過ぎて怪しい、が真実味になることもある
ナチス軍の膝元に流れてきた英国軍の将校。機密文書も持っており、しっかり身分が分かる上に全てが水耐性のある紙面。情報飛び交うこの時代、怪しいと思われることは至極当然でした。しかし匙は投げられるのです。この偶然が重なりあった”事実”を信じるかどうかはナチス次第。ちなみにこの作戦、死体に機密文書を持たせてナチスの手に渡したことは実話です。
ちょっと恋愛のもつれが邪魔に感じてしまう本作ですが、作戦の進展状況や各国の情報戦・スパイの暗躍は面白い。2重・3重スパイが普通に張り巡らされているので、誰が仲間かもよくわかりません。こういう作品には”人を騙すには人を信じるしかない”という矛盾・皮肉を感じます。作戦内容からコメディと思っている方、シリアス・ヒューマンなので笑いを期待しないように。


コメント も、文句以外で・・・