パーフェクトでも虚しいなあ・・・
ベストセラー作家の秘密
作家志望の青年マチュー・マーサーは運送会社で働きながら作品を書いています。「陰の男」を書き上げ出版社に応募しますが、その返信手紙にはは定型文で「出版は難しい」と書かれています。納得できないマチューは出版社に電話しますが、相手にもされず話の途中で切られてしまいます。
落ち込みながらもこの日の仕事は、孤独死した老人の部屋にある荷物を廃棄する作業。マチューは片っ端からゴミをまとめていきますが、その作業で持ち主はレオン・ヴァーバンという名前で、写真も出てきました。そして見つけたこげ茶カバーの日記帳。冒頭「今日、アルジェリア兵を2人殺した」の文章に惹かれます。そして魔が差してしまい、日記を小説として書き直し、「黒い砂」という題目で出版。そして大当たりします。マチューの成功は何を生み出すのでしょうか・・・
不可解な行動が多い
マチューは盗作をしています。そして華やかな世界に仲間入りしました。そしてこれからは自分の才能を生かして次々と・・・ではありませんでした。何も書かずに原稿料を前借して金持ちの彼女と過ごすという堕落人生。銀行からも援助が途切れるし出版社からは煽られるし・・・何か書けばいいのにと思ったのは僕だけではないはず。
題名にある「完全犯罪」とは程遠いイメージの主人公で、全てが行き当たりばったりの犯行が上手くいってしまったという作品。「バレなきゃいい」の典型的犯罪を繰り返すマチューの物語はツッコミどころ満載。しかしこのズサンさが面白く感じさせるコツだったようです。
こんな生活には耐えられないですよ・・・
他人の作品で売れた作家は当然次回作が書けません。期待されるプレッシャーを考えるだけでも気持ち悪くなりそう・・・。更に嘘を重ねたマチューは常に安心できない生活になっていきます。しかし全て同情できないような自分勝手な行動のせいです。豊かな生活と引き換えにしたモノは、あまりにも大きくそして取り返しのつかないモノでした。
ずさん・行き当りばったりな犯行ではありますが、ミステリー好きにはお勧めです。じりじりとした緊張感と、次は何をやらかすのかハラハラします。なりたかった自分には人真似することでしかなれなかった、そんなマチューに対する皮肉がパーフェクトマンという題名に含まれていました。本作主役ピエール・ニネは非常に目力の強いイケメン。真に迫った演技は定評あり、いい味出してました。
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コメント も、文句以外で・・・