緊張感があり、テンポもよかった
黒人差別政策に反対した白人
反アパルトヘイト組織の隠密作戦に参加した白人ティム・ジェンキン。彼はゴミ袋に爆弾を仕掛けます。そして爆発と同時に大量のアパルトヘイト反対ビラが宙を舞います。この作戦によりジェンキンと共犯者リーは逮捕。そしてジェンキンに12年、リーに8年の懲役が言い渡され白人看守からは「裏切者」と言われながら独房で過ごすことになりました。
初日の朝食時に出会ったのは政治犯デニス・ゴールドバーグ。彼はこの刑務所の厳重な警備体制を教えます。そしてジェンキンは看守の持つ「鍵」に注目。木や紙といった刑務所での作業で手に入る物で鍵らしきものを作ります。そしてテスト・・・なんとドアが開きます。ジェンキンはこれから脱出までに必要な鍵を、全て木・紙で作り、できる度にテストしていきます。果たして脱獄は可能なのか・・・?
反アパルヘイト事件として元ネタあり
そもそもこの「アパルトヘイト」とは、南アフリカで行われた「人種隔離と差別制度」の事です。これは国家によって定められた法で成立1948年から1990年までの、なんと50年間も放置されていた政策です。本作は黒人の奥さんを持つティム・ジェンキンが実際に起こしたビラ散布と脱走についての物語です。
投獄はジェンキン・リーその他数人で計画を練っています。そして本当に木で作った鍵でテストを繰り返しました。しかし脱獄するには3人に限定しないと無理だと判断します。これは脱獄途中で小さなクローゼットに隠れるためです。綿密に練られたこの計画は、脱出の日付設定と車両手配も準備が行われており、まさに万全を期しての脱走劇となりました。本人原作本があるのですが、概ね同じ内容ですので脚色がどれぐらいされているかは本人の匙加減次第ですね。
プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵 [ ダニエル・ラドクリフ ] 価格:3,344円 |
アパルトヘイトへの反抗意思は万人にあった
アパルトヘイトは、「黒人だけが反対した」ものではありません。多くの白人も協力しており、本作は差別主義に対して白人は傍観者という立場を否定しています。確かにアパルトヘイトという50年の悪政に対して、白人が声を挙げることをしなかった、そんなはずがありません。人種関係なく、闘った人間たちの軌跡として非常に大切な視点が描かれていました。
期待して閲覧したラドクリフ。イロモノ作品への出演が多くドキドキしていましたが、本作は本格的に楽しめました。鍵を1つ開けるのにも心臓音が高鳴りますが、これを10個作りテストするとか・・・。脱走準備なのに見つかったら脱走と同じ罪になるこのテスト、ラドクリフが強い緊張感を押し出して魅せてくれました。贅沢を言えば脱走の理由部分をもっと強調して欲しかったのですが、しかし「大脱走劇」としてハラハラドキドキ、そしてワクワクを与えてくれた作品です。
コメント も、文句以外で・・・