目的は「失業保険」
パリの大富豪フィリップは首から下が麻痺しており、自分で体を動かすこともできません。介護者がいなければ生きていく事さえできない彼は、今回新たに住み込みの介護人を雇う為自宅で面接会を開きます。その場で気になったのは唯一黒人のドリス。彼はフィリップに対して障害者として接する事がありません。その気さくな性格と態度を気に入ったフィリップは採用を決めました。
しかしこの男ドリスは、パトカーに追いかけられた際には「逃げ切れるかどうか」を200ユーロ賭けたり、捕まった際には「助手席の友人を病院に連れて行くためだ!」と騙して逃げるような男。今日の面接も失業保険を受け取る為、「不採用証明書」にサインをしてもらうために来ていました。しかし本人が一番思いがけない採用となり、1カ月の使用期間で住み込み生活が始まりまるのでした。
フランスで実際にあった実話がベース
実際のフィリップは名前も境遇も同じですが、介護人はアブデルというアラブ系の方です。アブデルの生い立ちや生活はドリスと比較すると大きく異なっており、それは浮浪者と言っても差し支えない状態。フィリップの自叙伝によると気さくで陽気な性格はドリス同様で、ズケズケと物を言うタイプで実際の面接でもすぐに仲良くなったという事でした。
フィリップの自叙伝から始まり、ラジオ番組にテレビ番組出演と注目されていきます。そして今作の映画オファーでは「コメディ」として撮るという条件で了承しました。確かにこの「最強のふたり」は面白い!障害・介護・貧富・差別というテーマなのに、明るくエネルギッシュな作品。フィリップ笑える作品を望んだことで、世界で一番ヒットしたフランス映画が生まれることになったのです。
感動に震える友情物語
ドリスの態度は軽薄で、雇い主に向けたモノとは到底思えません。しかしそれは同情という感情を持っておらず、同じ人間として接した結果でした。粗暴・乱暴な言葉であっても真っすぐに相手の事を思いやるドリス。そしてその言葉を受け取り、つい笑ってしまうフィリップ。この2人は心で会話しているかのように透き通った関係になります。
この重いテーマを盛り込んだ作品は、実に繊細で実に大胆。笑える作品を目指してたそうですが、その内容からは感動が上回っています。この2人だけで一体いくつの偏見を壊しているのか。でもきっと、これが世のあるべき姿ですよね。「最強のふたり」という邦題はちょっと・・・ですが、作品自体はフランスらしい美しい映画でした。
⇑ こちらは最香のフランス映画「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」
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