宗教が絡む作品はほとんどグロい
猟奇殺人現場に”GREED(強欲)”の文字
34年間刑事として勤務したサマセットは残り1週間で定年を迎えます。後任として配属されたのは若く意欲のあるミルズ刑事。そして雨の降る月曜日、2人は殺人現場で落ち合います。そこには異様に太った男性がミートソーススパゲッティに顔をうずめて死んでいます。手足を拘束されており、12時間以上に渡る食べ物の過剰摂取が原因。無理やり食べさせられた”殺人”と断定されます。
捜査を続けている火曜日、今度はグールド弁護士が殺害されます。担当はミルズで現場に赴くと、グールドは秤に自分の肉1ポンドを切り取り乗せ、”失血死”していました。そして現場の床には「GREED(強欲)」の文字が書かれていした。同じ頃月曜日の事件を捜査しているサマセットは、被害者宅の冷蔵庫裏側に「GLUTTONY(暴食)」の文字を見つけます。ここから”七つの大罪”になぞらえ、後5件起きるとサンセットは署長に提言したのでした。
思慮深い・短慮な2人のバディ物
サマセット刑事は思慮深く、冷静に”七つの大罪”から犯人像を探し出そうとします。逆にミルズは「単なる異常者で知能も低い犯人だろ」と犯人を舐めています。居場所や犯人像はサマセットが明らかにしていきますが、犯人を見つけた際にはミルズの行動力が活きてきます。この2人は非常に良いパートーナーになるはずですが・・・
このダブルキャストはハマりですね。サマセット役モーガン・フリーマンは老齢で知的な印象が強い重鎮俳優。ミルズ役ブラッド・ピットは当時32歳で”血気盛ん”な若造としては丁度良い年齢です。ブラッドにとって本作は、”色男”を脱却し”俳優”としての評価が上がったある意味”出世作”となりました。確かに本作のブラッドは泥臭く、観ているこちら側が歯ぎしりしてしまう程真に迫った演技を披露しています。
大罪とは思想の一種
”七つの大罪”は漫画でも有名になりましたが、これは”罪自体”を指すのではなく、”この感情・欲望を持つ事で罪を犯す”というのが本来の意味です。罪に至るまでの人間の状態を表した”思想・概念”というのは時に異常な信仰心を生み出してしまいます。まさに本作はそういった”異常な何か”に憑りつかれた、心酔した犯人が起こした事件でした。
犯人である”ジョン・ドウ”と名乗る男ですが、このジョン・ドウは名前がわからない相手を指す言葉です。この男は最初から最後まで犯行を楽しみ、刑事をからかっていました。そんな男と関わった2人ですが、特にミルズは不運・不遇というしかない結末が待っています。これは何一つ共感も理解もできない犯行に、絶望・怒り・そして悲しみを与えらる衝撃作品です。
⇑ ケヴィン・スペイシーは名優
⇑ 猟奇的ならハンニバルシリーズですよ
⇑ 宗教にグロ、そしてカルトな「ミッドサマー」も思想的猟奇
コメント も、文句以外で・・・