阿部サダヲの瞳が黒い
実家に届いた手紙
大学生の筧井雅也は祖母の葬儀のため実家に戻ってきました。久しぶりに会った父親から小言を言われています。うんざりしながら葬儀に参列した後、実家に届いた手紙を確認しました。そこで見つけた一通の”とある手紙”に書かれた差出人が雅也を動かします。
それは榛村大和という男から送られてきた手紙で、この男は雅也が中学時代に通ったベーカリーの店主でした。雅也は柔和で穏やかな大和に良くしてもらった事を覚えています。しかしこの榛村、24人を殺害し爪を集めたという連続殺人犯。彼からの手紙には”雅也君にお願いがある”という内容。大和に合う決意をし、刑務所へと向かう事にした雅也。果たしての”榛村のお願い”とは・・・
榛村の犯行はおぞましい
榛村は”完璧”と称賛されるほどのサイコパス。殺人に対しての罪悪はなく、今回のお願いも利己的な話です。裁判においても”捕まったのは自分のミスで、警察は無能。次があれば、2度と捕まらない。”等と話し、どの場面でも一貫的に”悪い事って何?”という姿勢です。
そしてこの姿勢は犯行時も貫いており、被害者に対して嗜虐性を発揮します。相手を物理的・精神的に追い込み、這いずり逃げる姿を眺めながら近づいていき・・・。キルケゴールの言う”死にいたる病”を絶望のことであるとするならば、彼はまさしく”死刑にいたる病”に侵されているのです。
狼狽を楽しんだ
爪の収集は”戦利品”程度のことで、榛村のお楽しみは”絶望し続ける顔”でした。死を覚悟させないように痛め、相手の狼狽を引き出す自分に酔っているかのようです。そんな男が”あの殺人はぼくじゃないんだ”と雅也に調べさせる。何かあるのか疑うのは当然です。なんせ榛村には”悪意以外の感情が存在しない”のですから。
主演の阿部サダヲは多分本物のサイ・・・と疑ってしまう程怪演。ちょっと本当にその辺りにいそうなので、一人で道歩きたくなる作品でした。話ズレての余談ですが、阿部定という日本のコレクターキラーから取った芸名で、見事なコレクターキラーを演じたというのは縁を感じます。・・嬉しくない話かなあ・・・
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