日本が誇るダークヒーローだ!
俺は”仮面ライダー”!
サイクロン号で逃げる本郷猛と緑川ルリ子。しかし崖から転落し、ルリ子にクモローグ手下の魔の手が伸びます。そしてバッタオーグへと変身した本郷はルリ子を助けるため手下共を倒します。しかし本郷は、敵の命を簡単に奪ってしまう強すぎる力に悩みます。そして変身を解き人間の姿になることで落ち着いた本郷に、緑川博士とルリ子はオーグ集団であるショッカー殲滅について話します。。
しかし突然のクモオーグの奇襲により博士が殺されてしまいます。そして「ルリ子を頼む!」と託された本郷は再び仮面を被ります。ルリ子が「よく知らないけど、ヒーローは赤なんでしょ。」と首に巻いてくれたマフラーをなびかせ、本郷はバッタオーグではなく”仮面ライダー”としてクモオーグに立ち向かうのでした。
かめーんライダー、かめーんライダー、ライダ~、ライダ~♪
人間だけが持つ精神的なパワー、プラーナを使用しスーパーパワーを得るという”昆虫合成型オーグメンテーションプロジェクト”。その中でも緑川博士によって生み出された最高傑作”バッタオーグ”は接近戦に優れています。特に80㎏を超える体重と、66m30㎝の跳躍力から放たれる”ライダーキック”はバッタの特性を最大限に引き出す必殺技でした。
1971年から始まった特撮TV版の雰囲気そのままに庵野化された本作。懐かしの「ライダ~~キィィック」のセリフは無くても聞こえてくるようでした。時代は大きく変わってしまいましたが、あの”変身ポーズ”を目にするとワクワクします。これは世代を超えて同調できる”かっこよさ”ではないでしょうか。しかし仮面ライダーのマスクの下には”人には戻れない”という悲しみが隠されていました。
優しさと不条理が同調して生まれるのがダークヒーロー
仮面ライダーは望まぬ改造を受け、望まぬ力を手に入れた存在です。本作では”不幸な人間を幸せに導く”というショッカーの理念から、意味のない・わからない不幸を背負った人間がオーグ化されていました。人間を辞めたことを喜ぶ者が多数のなか、仮面ライダーは人間であろうと”もがく者”でした。その姿は悲しく虚しく、そして逞しく美しい”ダークヒーロー”として胸に響きました。
原版リスペクトが強く伺える本作。序盤ダムの上で見下ろすアングルは仮面ライダーでは定番で、シリーズ作の中でも”最初の敵はクモ”というのも準定番です。そして2号となる一文字の登場では「お見せしよう!」の名セリフと変身ポーズ。砕いて削って改めて構築した庵野仕様は、ファンだからこそ創れる作品でした。僕にとって最高のワンシーンは”ヒーローは赤”といって首にマフラーを巻くシーン。戦いに明け暮れ、明るい話題のないダークヒーローの一瞬の”ホッ”とポイントでした。
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