成りたい自分に成るのは簡単じゃない
冴えない
”これは今、カースト頂点にいる僕の話。なんの取柄もなかった僕が、なぜこんなことになっているのか話そう。”
父が大好きな高校3年生のカイルは両親の不仲が原因で父と離れ、母と妹と共に暮らすことになります。新しい学校への初登校日、教室がわからず男子生徒に場所を聞きますが意地悪を受け違う方向に。遅刻して辿り着いた教室のその男子もいましたが、カイルは無視しようと決めました。しかし悪い事ばかりじゃなく、通りかかった軽音部の教室で歌う綺麗な女子ダニーを見つけました。
少し浮かれた次の日は前日の意地悪男子デレクによってスマホを壊されます。苛立ちながらスマホ店に向かうと、かなり変わった店員に「修理は無理だ。このスマホがいいよ。」と更に”ユニバース”というアプリを勧められます。この男が言うには”アプリの空欄に望みを打ち込めば叶う”とか。そして冗談と期待混じりに打ち込んでみると・・・
アップデートできるなら!
やりたい事ができるアプリ・・・汚れた大人にとってはまさに・・・いや、まずはお金ですよね。ちょっと競馬当ててパチンコで1年勝ち続けて・・・貧相すぎる願いで自分に幻滅。本作の主役が僕じゃなくて良かったよ・・・
高校生らしい発想でカイルは”成りたい自分”にアップデートしていきます。このアプリさえあれば勉強もスポーツも恋も全てが思いのままでした。しかし作品冒頭で語るカイルは満足している状態には見えません。カイルは望んだ”何か”を手に入れただけなのです。
本当の望みを知らない
今すぐに望んだ何かが手に入る。この状況は”どうなるか考える”という思考を失わせます。失敗してもアップデートできるので、当然と言えば当然。そうしてカイルは感情に流され、その場その場で思い付いただけの望みを叶えていきます。このままでは満足はできても幸せになれない、そんな人生になるかも。
アップデートというより改変アプリな物語。母が話す「SNSなんて偽物よ」という台詞が本作の全てでした。アップデートしなくても”あなたは、そのままが一番素敵”という家族・友人の存在はスマホよりも自分の力になります。・・・と綺麗な事言ってみても、こんなアプリがあったら、ちょっとだけ、いや、1回だけ、何か悪い事しますよね。
コメント も、文句以外で・・・