戦車に興奮してしまった・・・
戦車兵の脱出劇
1941年第2次世界大戦でモスクワ近郊に迫るドイツ軍イェーガー。対するロシア軍の新人士官兵イヴァシュキンは、軍用トラックでイェーガーの戦車砲撃をかわすという離れ業を見せます。その腕前を認められ、T-34を任されたイヴァシュキンは早速ドイツ軍に奇襲をしかけ翻弄します。しかしイェーガーとの一騎打ちにて撃たれ捕虜となってしまうのでした。
それから3年、戦車兵の育成役になったイェーガーは、捕虜にしているロシア戦車兵との実戦演習を提案します。そしてその敵役に指名されたのはイヴァシュキンと他数名。ドイツ軍が持ち帰った最新ロシア軍戦車T34 -85が1台与えられ整備を行うことになります。実弾が与えられず一方的な演習になるはずだったのですが、兵士の亡骸もそのままな状態である戦車内になんと6発の砲弾と手りゅう弾が・・・演習時に抵抗を決意したロシア戦車隊達の顛末とは!?
T-34(ロシア)VS Ⅲ号戦車(ドイツ)
【T-34】ロシア軍主力戦車(30t)で、特筆すべきは”傾斜装甲”を採用した高い防御力。土地柄もあり雪・泥に強い大柄なキャタピラと生産性が高い事も特徴です。作中でもありましたが、実際にⅢ・Ⅳ号戦車では装甲を貫くことができなかったためドイツ軍を悩ませる機体でした。中型戦車としては遅い部類で、作中の軽快な動きでイヴァシュキンの能力の高さが伺えます。
【Ⅲ号戦車】ドイツ軍主力戦車(20t)ですが、元々は戦闘支援戦車。T-34に対抗するため、走行を厚くし長身砲台を装備したⅢ号突撃砲と呼ばれる機体が本作の要。Ⅲ号はバリエーションが多く、この当時でも10種類程存在しているとか・・・用途に合わせて装備変更ができるというメリットがありますが、ちょっと器用貧乏な印象です。
本作登場の2種類の機体だけを比較すると圧倒的にT-34が有利です。しかし戦車戦は操縦者の腕前で勝敗が変わります。「どれだけ戦車を知っているのか」という戦いであり、重要順としては作戦の機密さ>操縦士>戦車性能といった所でしょうか。本作はまさにこの重要順に焦点を当てて、戦車が躍動します。
戦車アクションが絶品
戦車に特化した作品の中でも、他にはない思わず「なるほど」と頷く描写の多い作品。”被弾時の音について”はよく描かれますが、本作はかすっただけでも鼓膜を痛める響音が起こり、硬直時間が生まれてしまうシーンは秀逸。「早く動け」と戦車ならではのヒリヒリ感が伝わってきます。
「戦車アクション」といったジャンルになるのでしょうか、ストーリーは程良く戦闘シーンは拘り練りぬいた構成でした。一瞬の判断で命を落とす戦いで、照準を合わせるために数十秒かかるという恐怖。相手の砲台もこちらに向こうとしているシーンでは息を飲みます。これは間違いなく「戦車ファン」が増える作品です。
コメント も、文句以外で・・・