サイコパス神父が圧巻
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シャンプーボトルの中のSOS
子供が2人、水浸しになっている暗い建物の中に閉じ込められています。手元にあった紙に何やら文字を書き、同じく近くにあるボトルの中にいれます。そして謎の大人が入って来ると、見つからないように水面に沈めました。そしてそのボトルは砂浜まで流れ、通りかかった退役軍人が拾い上げられるのでした。
そしてボトルは特捜部Qのアサドの元へやってきます。前回のダメージから休職しているカールに声をかけ、メッセージの分析を始めます。文字はタールで書かれており、血が付着、そして”P”から始まる名前の人物が差出人と判明します。そしてカールが「10年程前に起こった子供2人の行方不明事件があります。当時マスコミも大騒ぎした。」という事件を思代出します。しかし被害者は名前にPがつきません。更にメッセージの解読を進める特捜部を待っているものとは・・・
警察の無能さ?犯人の賢さ?
”エホバの証人”を題材にしており、起こった失踪・誘拐は「警察に届けたら子供は死ぬ」「エホバに罰せられる」と脅されます。信仰心の強い親たちは祈り続ければ神が助けて下さる、と信じて警察には話しません。カール達の感情的な説得が功を成し、家族が証言したことで事件発覚となります。信仰心も子供可愛さには勝てない・・・と思ったけど、10年かかってるので信仰心の勝ちでした・・・
事件の隠蔽方法も見事ですが、身代金の受け渡しの際には私服警官が20人以上総出で待ち構えながら見事に失敗する警察も無能。逆に被害者やカールまで犯人からの襲撃を受けてしまう結果に。犯人は1人なんですが!?確かに犯人は計算し尽くしており手ごわい相手でしょうが、それにしても中々悲惨なやらっれぷりに疑問が涌く今シリーズ。20人の警官よりカール・アサドの2人の方が優秀でした。
狂気と安らぎ
信心深い家族の子供を誘拐・殺害していく犯人。その背景にも”宗教”がありました。しかも犯人自身ではなく、その母親の信仰心が犯人に異常な精神を植え付けてしまいます。そして残虐で目を覆うような世界に呑まれていきます。宗教のもたらす”救い”や”安らぎ”といった聖の面と、少し違えば悪にもなり得るという警鐘が響いた作品でした。
重苦しい世界で、カールの無神論とアサドの信仰心の対決が唯一の息抜き。カールからすれば「宗教なんてイカレてる」、アサドからすれば「大勢が共有する信念の形」という真逆な2人の口論は、とても真面目な会話なのですが、その噛み合わなさに笑ってしまいました。しかし最後はこの関係にも変化が見えます。厳しくも本当は優しいカールを観て最後にグッときました。
コメント も、文句以外で・・・