心が揺り動かされるダークヒーロー
第三次世界大戦後・・・
第三次世界大戦により多くの命が失われたイギリス。この国ではアダム・サトラーという独裁者の元、徹底した恐怖政治により統治されています。ある日夜間外出禁止令が発令されているにも関わらず夜の街に出たイヴィー。そこに現われたのは秘密警察ですがこの警察、権威は既に無く落ちぶれた小悪党の巣窟。イヴィーを襲い始めるのでした。
そこに現われたのはガイ・フォークスの仮面を被り黒いマントを羽織ったVと名乗る謎の男。彼は颯爽とイヴィーを助け出します。彼は自身の復讐と独裁政権を正すため、日夜粛清を行っていきます。そしてイヴィーを救った日から丁度1年後の11月5日、放送局に現われTVジャックを行い、人々に国会議事堂に集合し、世界を変えようと呼びかけるのでした。
ガイ・フォークスを元にして
実際に起こった1605年11月5日に貴族院の議会開会式を狙い、火薬を使って議事堂を爆破する計画「火薬陰謀事件」に深く関与したガイ・フォークス。Vフォー・バンデッタは設定からしてこの事件から発想を得ているのは間違いありません。本作に登場のマスクも「ガイ・フォークスの仮面」と呼ばれるもので、2022年の最近でも見たことある物ですね。
口の両端が吊り上がり、鼻下と顎下に髭、そして尖った顎先のこのマスクはハッカー集団「アノニマス」のシンボルとして使われています。ガイ・フォークスさながらに世界を変える・変革に臨む折に使用され、反政府運動といった抗議の象徴として使用されており、アノニマスに限ってはいません。抗議デモ等の際には大体このマスクを着けている人が存在します。
世を変えるのは”悪”のみなのか
法で裁かれない悪、もしくは法自体が悪である時に現われるダークヒーロー。まさに弱者の味方となり巨悪に立ち向かっていきます。しかしVは決して単純な正義の為ではなく、「変革と復讐」のために戦っています。誰しもが心に抱えている闇を、誰よりも表に出して戦う彼の姿に観衆達は突き動かされます。まさに僕もそうでした。
独裁者により腐った世の中。打破できるのは武器ではなく信念でした。しかし世の中を美しくではなく、彼の持つ信念は”復讐”という黒い感情から。「改革・改変・世を変える」という言葉で観衆を騙し、真の目的を果たそうとするVの姿には真の悪である、と言わざるを得ません。そしてラストで知る事になります。Vは誰のことでもなく、全ての人に宿っている魂のことだと・・・
⇑ 腐った世を変えるのは真の悪
⇑ ”戦う理由”は誰にでもあるのです
コメント も、文句以外で・・・