完璧な景観は不気味
綺麗で整った住宅地
小学校教師であるジェマは恋人トムと2人の新居を探していました。そして立ち寄った不動産屋でセールスマン、マーテインの接客を受けます。かなり強引な彼に連れられ、新住宅地”ヨンダー”を見学することに。そこは綺麗ですが、全く同じ形・同じ色の住宅が並び、人の気配を感じない不気味な場所でした。
9番の家に連れられ、見て回っているとマーティンの姿はありません。更にこの住宅地、いくら車で真っすぐ走っても9番に戻ってしまいます。人を呼ぶため放火しますが誰も出て来ず、翌朝には家は元通り。困惑する2人は道路に置かれた段ボールに気付きます。そして開けてみると男の赤ん坊と「育てれば解放する」と置手紙が。更にこの子供、”普通じゃない”ようで・・・

ムズムズする不気味さ
このビバリウムという作品は不気味さが秀逸。人的じゃない微妙な雰囲気はミッド・サマーにも負けていません。マーティンの強引さと会話には違和感を感じるのみですが、住宅地ヨンダーがヤバい。緑の景観が目に優しい住宅地で、整備されて綺麗な家が並んでいます・・・いや、整備というか整いすぎてない!?
ズラーっと並ぶ住宅は全く同じ形で同じ色。道や庭も全く一緒なのですが、よく観ると空の模様、つまり雲まで綺麗に同じ配置で並んでいます。この地点で僕には無理な住宅地。人の気配も感じないこの空間で、さらに道路に置かれた赤ん坊は不気味さを加速させてきました。
物静かな恐怖
とても美しい庭の木や草が、まるでプラスチックのように無機質。現れた赤ん坊が唯一音や表情を見せるモノですが、当然”普通の子供”ではありません。しかし赤ん坊の異常に気づいてから、ではなくもっと前から既に精神の崩壊が始まっており、”訳がわからない”という理由に恐怖を感じさせる作品でした。
オープニングで見せる”カッコウの托卵”をモチーフそのままに、子供の世話をさせる存在が見えます。姿は見せずとも、な作品は雰囲気作りが大事。その辺りがとても上手で、気分悪く楽しませてもらいました。人間にとってこの環境が最適化されたモノと決めつけられているこの作品、今後ペットを飼う時なんかは”どれでも同じ”と勘違いしないように、と良い学びになりました。


コメント も、文句以外で・・・