この作者は”絶望”の意味を知っています
平和で退屈な毎日から戦場へ
ベルフォレストの街で祖父が営むメカニック業を継ぐしか選択肢がなく、決められた将来に辟易している少年レントン。レントン自身はカリスマフライダーであるホランドに憧れており、いずれは自分も自由に空を飛び、リフ(空中サーフィン)を決めたいと思っています。
そんな何の変哲もないある日、レントンは見た子の無いLFO(特殊人型重機)に遭遇します。中に載り操縦していたのは美少女エウレカ。一目で彼女に惚れてしまったレントンですが、実はエウレカは大きな秘密と責務を背負っています。戦いに身を投じていくエウレカのため、レントンも一緒に空城ゲッコーステイトに搭乗することを決意するのでした。

人類が故郷を追われて行き着いた星
ここは人類が安住の地を求め辿り着いた”約束の地”であり、そこには”トラパー”と呼ばれる不思議な粒子が存在しています。”風のように動く物体”であり、このトラパーに乗る(サーフィンのように)ことで空を移動できます。他にもトラパーはエネルギーとして活用されており、様々な機器の電源・電力に使用されています。
レントンが憧れる”リフ”とはトラパーを利用した空中サーフィン”リフライディング”の事です。作中では人間・人型重機共に”リフ”をしながらの移動・戦闘が描かれるのですが単純に”空を飛ぶ”とは少し違う”トラパーに乗る”という飛行方法になります。
温かい絵柄に絶望が入り混じる
初巻はレントンはエウレカの事が本当に好きなんだな・・・という印象しかありませんでした。しかし話が続くうちにエウレカの背負ったモノの大きさと、これから待ち受けるであろう”運命”に切なさを感じてしまいます。レントンが逞しくなっていきエウレカを支えようと奮闘しますが、そんな成長が追い付かないほど速い速度で絶望が迫って来る作品でした。
どう乗り越えていくのか、結末はどうなるのか、最後まで”これから起こるであろう最後”に目を背けて期待して読みました。作者である片岡人生は”期待・希望”をチラ見せしながら”絶望感”を与える描写がとても上手。独特で温かみのある絵柄と世界観にハマり、そして切なさと期待で涙しながら読破しました。本当に良作!!!
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