1巻1泣きという”しんどさ”はあるね・・・
地下室で見つけた”何か”
中学生蒼月潮は寺の住職である父から蔵の掃除を頼まれます。掃除の最中、地下室へと続く扉を見つけた潮は力づくでこじ開け、地下に降りて行きました。するとそこには槍によって封じ込まれている妖怪の姿が。妖怪は「小僧早く槍を抜け」と脅してきますが、潮は逆に槍を蹴り深く差し込むとさっさと蔵を離れてしまいました。
しかしこの蔵を開けた事より妖気が流れ出、周囲の小妖怪たちを引き寄せてしまいます。運悪く寺に来ていた幼馴染の麻子と真由子が妖怪に襲われます。潮は「助ける事」を条件に槍を引き抜きますが、「人間なんかとの約束なんか守るかよ」と潮に襲い掛かります。激怒した潮は槍によって力を引き出され変貌します。覚えのあるその姿に恐怖した妖怪は追い回され、とうとう小妖怪退治を手伝わされました。見た目から「とら」と名付けられたこの妖怪は潮に憑りつき、「いつか喰ってやる」そして潮は「いつか退治してやる」。最強の凸凹コンビが結成されたのでした。

アニメ版は勿体ない!!!
アニメ化された時に必ず起こる「原作ファン」論争。もちろん本作でも拗れており、僕も原作ファン視点で拗らせています。僕はアニメ化に関して悪い評価はしておらず、OPもキャラデザも声優にも満足しています。潮もとらも躍動感があり、麻子も真由子も可愛い魅力に溢れていました。問題は”尺”なんです。
序盤の香上と片山のそこそこ長い旅がカットされた辺りから疑問がありました。徳野エピソードも消えた事から確信に変わりましたが、13話で最期を迎えるために主要人物・妖怪の出番がごっそり抜け落ちています。それでも良くまとまっているとは思いますが、この「うしおととら」は漫画で全ストーリーを見てこそ本当の感動が味わえる作品です。
荒い絵柄に騙されるな!泣かされるぞ!
かなり荒々しい絵柄の漫画ですが、作風なだけで内容は号泣必死のヒューマンあり。人も妖怪も同じく生きているんだ、仲良くなれるんだと信じる潮の体を張った戦いは時に、というより常に涙を誘うものばかり。そんな潮の姿に人も妖怪も惹きつけられ、そして自然と体が動いてしまいます。1冊1泣きというハードな漫画ですので、覚悟は必要です。
この作品の凄いところは「間延び」がない所です。全ての物語と登場人物・妖怪に理由と意味があり、その生死にすら意義がありました。”伏線”という言葉の意味を教えてくれる漫画です。日本にははるか昔から”妖怪”というモノが存在しています。徐々に忘れられていきますが、大地が空気が世界が人間だけの物ではないと、改めて思い知らされます。

⇑ 「PLUTO」も独特な絵と”人”以外の存在が描かれます


コメント も、文句以外で・・・