体温が上がる漫画です
やりたいことをやってるだけ・・・その結果
路地裏で複数相手に喧嘩の大立ち回りをする中学生灰島了一。売られた喧嘩を必要以上に買ってしまい、また家庭でも問題を起こしたと噂をされ「八王子の鬼子」と呼ばれています。一緒に暮らしている妹かなえとはギクシャクしてはいますが、決して暴力的ではありません。この日は夕食後に不良友達に誘われ、外に酒を調達しに出かけます。
店に着くと友人達は酒の万引きを始めます。しかし小宮と名乗る男に友人が捕まり、了一は戦闘態勢へ。しかし触れる事も出来ず取り押さえられます。警察署内でも暴れる了一に小宮は「理性なしに振るう力はただの暴力。その力を否定してやる。」と話し、了一に竹刀を自身は素手で立ち会います。了一は竹刀を踏み折り「凶器」へと変え「後悔すんじゃねえよ」と襲い掛かります。そして「剣道」を知る事になります。
今は独りぼっち
万引き・弱い者いじめ・自分から喧嘩しない、そんなポリシーを持っていても周囲から見れば乱暴者。しかし同じような仲間がいました。「不良」のグループに身を置けば一人ではない実感が持てたのでしょう。しかしこの友人達、本当に仲間と言えるのか。警察に捕まった際、万引きをしていなかった了一に「お前だけ良い子ちゃん」と言い放ったこの友人が・・・
家庭内でも妹とも仲睦まじいとは言えません。了一の暴力性が原因ではありますが、更生できる要素がありません。警察にもとびかかり、牙をむいて暴れる姿に学生らしさはなく獣です。人を傷つける事を躊躇しない了一ですが、友人の言葉に腹を立てながらも殴りませんでした。その姿に気付いた小宮が「独り」から救おうとします・・・すでに熱いな・・・
逃げなかったのは小宮
「鬼子」とまで呼ばれ、凶悪・凶暴な了一を前に立ちはだかるのは小宮。今までどれだけ多数の「大人」が彼を見過ごしてきたのか。了一の中に怒り・憎しみ・そして優しさを見出した小宮の行動には拍手しかありません。そしてこの「鬼と呼ばれる少年」に誰が武道を勧めたでしょう。関わる事を逃げない小宮は胸熱な漢です!
レトロタイプな作品で、不良・スポーツ・怪我と三拍子揃っています。強さに対して怒りや憎しみも糧になると感じさせ、泥臭く顔に土が付いても立ち上がる姿が熱い漫画。題名の「焦ぐ」が響き、了一の焦り(あせり)と焦がれ(こがれ)が常時前面にでています。何かに飢えていると感じる世代(特に10代中盤)は共感しそう。これ「剣道ブーム」来ますね!
コメント も、文句以外で・・・