少女漫画な絵柄に少年漫画のストーリー
文明や科学が滅びた世界で
地球に滅亡の危機が訪れた300年後、世界は荒れ果て領土争いが起こります。日本も例外に漏れず京を中心に4つの勢力に分かれ、それぞれが王家によって支配され、民衆は圧政に苦しんでいます。そんな中”白虎の村”に”運命の子供”が誕生します。双子で運命の子タタラ、その妹更紗は王家に隠されながら育っていきました。
そんな2人が15歳になったある日、”赤の王”が運命の子の存在を知ります。そして「白虎の宝刀を所持しているタタラに謀反の意思がある」と村を襲い始めます。そしてタタラが斬首され村人皆が希望を失ったその時、1人残された更紗は髪を切り白虎の宝刀を握り立ち上がります。そして更紗は”運命の子タタラ”として生き抜こうとするのでした。
冒険と政治、そしてロマンス
更紗の旅では多くの出会いがあります。白虎から始まり朱雀・青龍・玄武と、4本の剣を集めるというファンタジー設定。剣の持ち主はそれぞれクセがあり、色々なものを背負いながら更紗の強い支えになります。そしてこの剣が1本揃うごとに着実に力をつけていく様子が熱くさせます。
そして敵役である王家もそれぞれ何かを背負っており、策謀と争いで衝突を繰り返しています。単なる悪役ではなく信念を持っており、背負ってるものや立場が違うだけで、世の平定を望む想いは同じものでした。
そんな殺伐として世界ですが、更紗は朱里という男と出会います。お互いに打ち明けられぬ事情があり、ヒヤヒヤしながらも2人の両者を”思いやり深くなる絆”からは目が離せません。
理想と現実の間
初刊から父と兄が死に、母が連れ去られた更紗。綺麗ごとではない壮絶な戦いの物語である事が伝わります。理想を叶えるためには手を汚すことも必要と語る敵味方。そんな中で更紗と仲間達は常に理想の為の犠牲に涙を流し、己の実力の小ささを思い知り挫かれていきます。それでも前を向き戦いに身を投じる更紗に待ち受けるのは数奇な運命でした。
”読めばわかる”という評価になりますが、文字では伝わりにくい作品。政治と戦争が大きなテーマとなっていますが、それに巻き込まれていく恋愛模様から目が離せません。政治的変革の裏には”大切な人”の存在が見え隠れし、そして決断する際には大きな赦しが必要になることを語っていました。”民衆が立ち上がる”、そんな作品が好きな方は一読をお勧めです。
コメント も、文句以外で・・・