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常人と異常者の境目はどこ?「GOTH」

GOTH ゴス 小説
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4.0 ダークマターな小説

興味本位は・・・

夏休みの登校日、”僕”手帳を見せてきたのは森野夜。森野は美人ですが無口で近寄りがたいため、”僕”と同じく孤立しています。そんな森野との共通点は”異常な殺人に対する興味が強い”こと。今の興味は最近起こった連続惨殺殺人事件。これは2人被害者が出ており、①バラバラにされ木に釘で貼り付けている床にパーツ毎に並べているという事件でした。

森野が出して来た手帳はこの事件の犯人が書いたものだとか。しかもこの手帳、既に3人目の被害者についても書かれています。森野は「発見されていないこの死体を見に行こう。」と僕を誘っているのです。そうして僕達は手帳に書かれていた場所に向かい、そして死体を発見してしまうのでした。

乙一さんノリノリ

前作でデビュー作の”夏と花火と私の死体”から感じてはいましたが、この”GOTH”でグロ描写本領発揮。この2作だけで”グロ小説は乙一”と(僕に)呼ばれる小説家となりました。しかしグロだけで評価が付くわけではありません。そう、犯人の異常性について描写が必要です。

序盤からの猟奇殺人ですが、当然ながら犯人はサイコパスでしょう。死体を動かす地点で既に常人ではありませんから。では”見に行こう”はどうでしょう?なんとなく”幼稚な好奇心”だとタカをくくってしまいます。しかしこの2人はそれぞれ違う観点と思考で死体を見ているのでした。

興味が強い、は”死体を見たい”まで

森野の見たいは”見てみたい”という興味からです。しかし”僕”は犯人がどんな人間なのかに興味があります。犯人を探して捕まえたい、のではなく会ってみたいだけです。そこに倫理観や正義感はなく、森野よりも一歩暗闇に踏み込んだ好奇心を持っています。ここが普通と異常の境目なのかも・・・

題名通りの暗黒系小説ですが、うっすらと淡い恋愛感も漂います。同じように異常犯罪に興味を持ちながらも相容れぬ壁がある2人。これは変わる事が無い仕方のないことです。しかし”僕”のような壊れた部分を持つ人物は、誰かが付いていないと黒に染まりそうです。だからつい”森野がんばれよ”なんて思ってしまうのでした。

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