三國志を詳しく楽しく
桃園の誓い
中国を統治していた漢王朝は、”十常侍”と呼ばれる10人の宦官(去勢された偉い手)によって掌握されていました。宮廷は賄賂が横行し腐敗にまみれた豪勢な生活、民衆は圧税に加え飢饉に伝染病に苦しんでいました。そこで立ち上がったのは長角をリーダーとした”黄巾党”。しかし彼らもまた、民から見れば盗賊と変わらぬ輩だったのです。
そんな世を憂う楼桑里に住む劉備は、実は漢王朝の血筋。一介の村人という立場でありながらも、その威厳と魅力に惹かれ関羽と張飛という豪傑が集います。そしてこの3名は桃の宴で酒席を開き「我ら三人、同年同月同日に生まれることを得ずとも、同年同月同日に死せん事を願わん。」と義兄弟の契りを結び、混沌極まる乱世を治めるため、義勇軍として黄巾討伐に名乗りを挙げるのでした。
挑戦的でオリジナリティ満載
川本喜八郎制作の人形達は個性豊かで美術的。コンピューターを駆使した操作は当時では新しく、こういった作品に俳優が選ばれたのも珍しいものでした。更に作中、人形と共に本物の火や水を使ったのも挑戦的。燃えてしまったり水で色が落ちる危険性を抱えつつも、リアルで人間の如く迫真のシーンを生み出しています。
本作は”三国志演義”を元にしたオリジナル作品。劉備を中心としたストーリー展開は演義同様ですが、もっとはっきりと勧善懲悪に寄せています。張飛が蛇嫌い(蛇矛使うのに・・・)とか呂布に弟がいるとか、ちょっとした設定もオリジナルです。更に一番気に入ったのは”英雄に取材”というメタ系の存在でした。
神助・竜介のインタビュー
紳助・竜介は神神・龍龍として作中に人形としても登場します。しかし彼らの一番の役目は番組司会者。進行役であり語り部であり、そして時にはインタビュアーでした。袁紹・曹操に孫堅の死について意見を求めたり、龐統の死を受けた心情を関羽や趙雲に聞いたりと、知りようのない心中を聴ける(つもりな)機会を与えてくれました。
40年も昔の作品ですが、今も尚三國志ファンの間では語り草となっています(恐らく)。1970年初期から横山光輝の漫画で子供達が”三国志”を知りました。そして本作で人気漫才師とNHKのコラボで10代の心を掴みます。今も色褪せない名作なので、どんどん画像解析度を上げて再版していって欲しいものです。ちなみに人形の方は美術館等の展示で照明・紫外線を浴び、随分と色褪せていましたが、それはそれで味が出ています。・・・三國志系のブログも書いていきたいなあ・・・
コメント も、文句以外で・・・