会話が小難しい・・・
隔離された天才
国立N大学建築学科助教授である犀川創平。彼の研究所には、学生時代に師事していた西之園恭輔博士の遺児・西之園萌絵がよく訪れます。萌絵は犀川に好意を持っており、気を惹くために”真賀田四季”博士との会話を持ち出します。その貴重な経験に犀川の興味はふくれます。
過去に殺人を犯したとされる真賀田は、名実共に世界最高峰の天才。真賀田研究所で優秀な研究員を雇いつつ、本人は研究所から隔離された部屋に閉じ籠って15年が過ぎています。萌絵が”話をした”というのは奇跡ともいうべき出来事なのでした。そんな流れから犀川研究室の旅行は真賀田研究所のある妃真加島に決定。さらに研究所にも入れた犀川と萌絵ですが、そこでウェディングドレスに纏い四肢を切り落とされロボットに固定された真賀田の姿を目にする事になります。果たしてこれは殺人事件なのか・・・
推理物、ではありません
ミステリ物として分類されていますが推理作品ではありません。予想を裏切る系なので答えはラストまで分からないモノだと感じました。また原作者森博嗣氏が工学博士という事もあって、理系な会話がワッサワッサでてきます。でもまあ、理解できない言葉出ても大丈夫。
会話は小難しい、けれどそのトリックは割と易しいものです。本作で混乱するのは天才真賀田四季の思考にあります。15年も引き籠ったからか、世間の常識とは逸脱した考え方を持っています。しかも10代の頃から・・・理解できるけどよくわからない、そんな印象を持たせてきます。
僕の青は君の碧
真賀田の死という同じ現場を見た犀川・萌絵ですが、思う事・見るモノ・探す何かが違います。隔離された世界を”理想的”と話す犀川、四季も同じように考えていたようです。しかし”同じよう”と”同じ”には隔たりがあり、完全一致となる事はありません。同じ景色を見ても、誰かと全く同じ感覚になるという事はないのです。
伏線の張りとこだわりが細かい哲学的な作品。各話タイトルにもヒントが隠されていますが、あくまでそれはトリックのヒント。四季の思考に関しては本作を観きっても理解しにくいかもしれません。しかしそれでいいのです。僕が青いと言っても、あなたには碧と見えているのなら、それは共に受け止めるだけでいいのです。そんな作品・・・なのかな?
コメント も、文句以外で・・・