”ナッシュ均衡”を本作で知りました
スパイ活動に喜びを覚えた学生
類まれなる頭脳の持ち主ジョン・ナッシュはプリンストン大学院の数学科に入学します。ナッシュは”世の中全ての出来事を支配・コントロールする理論”を探し出すことを自己課題としています。そして導き出した”ゲーム理論”は高く評価され、MITウィーラー研究所に採用。更に数学の研究に没頭していきます。
研究をしながらナッシュは国家諜報員であるパーチャーの依頼を受け、ソ連の暗号解読に一役買います。この暗号解読はナッシュに喜びを与え、どんどんのめり込んでいきました。実生活でも恋人ができ、まさに順風満帆。しかし平凡な日常とスパイ活動という非日常に”ひずみ”が生まれ、更にナッシュ自身に”統合失調”による症状が出てきたのでした。
”ナッシュ均衡”は知ってて損なし
ゲームなどにおいて全てのプレイヤーが他プレイヤーの戦略を踏まえたうえで、自分が最適な戦略を取っている状態の場合、どのプレイヤーでも単独で違う戦略を選択しても利益が低くなります。結果”変化を起こさず”現状維持を選択し”均衡状態”になります。この均衡状態を”ナッシュ均衡”と呼びます。
いやあ、複雑ですね。協力し合った結果ではなく、各々が読み合いする中で最善の行動を取った上で起こる現象なので、1つのゲームや場面で複数のナッシュ均衡が起こり得ます。ちょっと違うかもですが、”全てのプレイヤーが全てのプレイヤーを支配している”という事・・・かな?
自分の生活に活かす、なんて方法は思いつきませんが、何かしら知っておけば”賢くなった気分”を味わえる話でした。
統合失調症と闘う
高齢者施設で働く僕は”統合失調症”の方と関わる事も少なくありません。皆さん”自分の考えていることや物が具現化される”という症状があり、酷い方は周囲に色々見えすぎてしまいます。生涯続く症状で、他者から理解されない・得体の知れない物が見える恐怖感が続くということを想像するだけで苦しいものです。
ナッシュは自身の病気治療法の選択をします。自分の理論に基づいて”自分自身を支配(管理)する”提案を行い実行します。周囲に支えられながら統合失調の病状と闘う姿は題名通り”美しさ”を感じさせるものでした。J・ナッシュは実際に存在した人物で、どの時代でもこういった”天才”たちは苦難と向き合うのだな、と僕自身が凡人である事に小さく感謝しました。
⇑ 難病に立ち向かう作品
コメント も、文句以外で・・・