スペイン無敵艦隊の最後も切ない
スペイン国の台頭
1585年イギリスを治めるのはプロテスタント信仰者であるエリザベス1世。「信念では民を罰しない、国こそが民を罰するのです。」と信念を掲げイギリス独自の国教会を確立されています。しかし当時最強国であるスペインの国王フェリペ2世は、「カトリック以外の宗教は必要ない。」と考えヨーロッパ中で”聖戦”を巻き起こしていました。
この時期は世界中で海外貿易が盛んになっており諸外国との交流も増えています。エリザベス1世は外国の王族・貴族とお見合いを繰り返しますが、どうしても心揺さぶられる男性とは出会えません。そんな時、海賊であるウォルター・ローリーと出会います。ローリーに惹かれている自分に気付きながらも、”生涯独身”を貫こうとお気に入りの侍女ベスに譲ろうとします。そして、悲劇が始まるのでした。
アルマダ(無敵艦隊)の海戦
本作の主軸となる戦争はスペイン衰退のきっかけになった戦いです。130隻のスペイン無敵艦隊はグラヴリンヌ沖でイギリス艦隊に敗北します。作戦不可となったスペイン軍は退却を始めますが、悪天候によって更なる被害を受け死傷者2万人に及ぶ大損害となりました。戦艦の半分が海に沈んだスペインにとっては正に悪夢でした。
この無敵艦隊ですが近代では、ヨーロッパの海域から”沈没船”として引き上げられています。しかしその内容は”無敵”というよりは”お粗末”な物で、船も搭載品も兵士の装備まで統一性がなくてんでばらばら。これは敵の戦艦を乗っとって使うという”海賊戦法”が原因でした。大砲のサイズまで異なっているので、玉も大きさが違うため、まともに撃てなかったと予想されます。それでも数が多かったのでしょうねえ・・・無敵艦隊・・・
強く逞しく、そして孤独だった
国と国民の為に全てを捧げる女王の姿がありました。しかしエリザベスは”女王”であり”女性”として生きる事を拒絶しようとしています。そうやって権威と気品を身に纏っていたところに現れるイイ男。エリザベス女王の身を思えば、終始辛い物語になっていました。
しかしこの作品を観ると、”やっぱり宗教は怖い”の印象。人間は愚物であるという証明のような出来事で、信仰心の強すぎたフェリペ国王による”宗教の強制”から起こったこの戦争。イギリスの誇り高きエリザベス1世役をケイト・ブランシェットがエルフのような気高い存在感で見せつけてくれました。胸が高まる鼓舞の瞬間は見逃せない!美しいくも厳しい作品でした。
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