理由がない、が一番怖い
ラブ・バード
サンフランシスコのペットショップで鳥が届いたか確認にきているメラニー・ダニエルズ。上級階級の女性で時間と暇を持て余している彼女は、とある客に対して店員のふりを始めます。弁護士であるミッチ・ブレナーは彼女にラブ・バード(コザクラインコ)のつがいを依頼しますが見つかりません。そしてミッチは実はメラニーの事を知っており、”いたずらは感心しない。”と告げました。
そんなミッチに興味を持ったメラニーは車のナンバーから住所と名前を探し出します。そしてラブ・バードを届けようと100km離れたボデガ湾を訪れました。ミッチの自宅は湾の反対側のためボートで向かいます。家に着くとメラニーは贈り物の鳥と手紙を室内に置いていきます。そしてボートでミッチの驚く姿を見て喜び、逃げるようにボートで帰ろうとしますが、突如カモメに襲われます。どうやらこれがカモメからの警告だったようです・・・
身近で得体の知れない何かが起こる
アニマルパニック物ですが、そのアニマルとは鳥。ごくごく普通のハトであり、カモメでありスズメ・カラスという鳥です。数えきれない鳥達の襲撃は激しく、人間は家の中に囚われますが、そこも安全ではありません。数の暴力で抵抗を許さない描写にドキドキ。そしてこの鳥の行動は原因不明なのです。
復讐とか原因がわかれば対処ができますが、こういった理由がない!というのが一番怖い。無差別で何処で何時襲われるかわかりません。そんな鳥の恐怖を描いた本作ですが、ちょっとこの女性メラニーも怖くないですか?素性調べて100km車で追いかけてるんですよ!?でもそこには”理由”があるのです。
時代と出会い
ちょっとストーカー的なこの行動ですが、ミッチもまんざらでもありません。この時代はスマホは無く、電話も一部の店舗や中流階級の持ち物。つまり”気軽に連絡する”アイテムがないのです。そのため当時の出会いは正に一発勝負でした。現代ならストーカーですが、この当時はラブロマンスな行動だったのです。
時代を感じる作りですが、それもそのはず1960年代のヒッチコック作品。BGMがほぼなく、鳥の声や音で不安を煽ってきます。この身近すぎる存在は声すら恐ろしい武器となっていました。評価が高くアニマルパニックの原点とまで謳われていますが、コンセプトはB級。低予算で特撮も使用しているチープ感は好みです。時代変われど名作変わらず、ということでヒッチコックの世界観を堪能しました。
コメント も、文句以外で・・・