初回で心掴まれました
人類の希望は聖書しか知らない
神も悪魔も存在するこの世界で、大悪魔サタンを打ち破れる可能性を秘めた少年がいます。「聖書」そのもののような彼の言動は、同世代の子供達から疎まれていました。そんな少年に軽薄ながらも凄腕の「センセイ」が付きます。最強のエクソシストになる為の修行・・・は始まらず、怠惰な生活を送るセンセイに少年は辟易していました。
そんな折センセイは少年を連れて、とある娼婦の元へ行きます。サキュバスである事を見破っていたセンセイ。しかしその裏には魔王の存在がありました。大きな代償を払いながら戦う少年にセンセイは伝えます。「恋をしろ 人を愛せ」・・・この4年後ローマで神父となった少年にサタンから犯行声明が届きました。そして彼は再び闘いに身を投じていきます。

センセイは良き師匠
1作目で登場したセンセイは、少年を育てるために教会からもらったお金で娼婦を囲います。慈善事業の一環ではありますが、美女に囲まれた生活は「神父」の姿には見えず怠惰に見えます。金が尽きればまた出してもらえばいいんだ、とあっさり話すセンセイに飽きれますが、やはりその実力は確かなモノでした。
サキュバスとの戦いでも「凄腕」とわかりますが、それ以上にセンセイは少年を感じています。「聖書」の教えが全てである少年にとって、「恋愛は怠惰(悪欲)」でした。サタンを倒すだけに存在し、殉教(死)するために戦う少年に対して「人類の希望」と認めつつも「人間として生きていいんだ」と教えます。昼行燈でありながらも洗練された師匠の姿は「アバン先生(ダイの大冒険)」と重なりました。
愛する人がいれば世界はもっと美しい
巻頭カラーの絵画はアザゼル。人間に恋をしたため堕天使、つまり悪魔となってしまった天使の図です。堕天しても構わないと思える相手を見つけたことが幸か不幸か・・・誰も知る由のない心理ではありますが、神父となった少年は「恋をしろ」と言われた経緯もあり気になっています。そして気になるのが題名の「堕とせない」はどこ?1巻巻末でやっと題名に辿り着きますので乞うご期待!!
聖書の塊・堅物なイメージの主人公ですが、彼が話した「世界を賭けた悪との闘いよりキッチンに立っている方が好き」が心に残りました。2022年10月現在で3巻まで出ていますが、この言葉が一番好きです。神の教えを守っているのに自暴自棄という本末転倒な彼。それでも生きている楽しみを持っている事が計れる言葉で、悪魔と闘いたいわけではないと知れます。いつか彼にも「手料理を食べさせてあげたい」相手が見つかる、と信じて続読していきます。

⇑ 「ダイの大冒険」の主人公も「師匠」に救われています

コメント も、文句以外で・・・