晴天より君が好き!!!
雨の止まない世界
離島から逃げるように家でしてきた16歳の森嶋帆高。東京に向かうフェリーで出会った須賀圭介にたかられながらも、「何かあったら頼ってよ」と名刺を受け取ります。そして夢と希望を持って辿り着いた東京ですが、身分証明がないため宿泊場所もバイトも見つかりません。警察官から補導される恐れもあり逃げ隠れしている折に、捨てられていた拳銃を拾ってしまいます。
東京で打ちのめされていく帆高に、ファーストフード店の若い女性がハンバーガーを恵んでくれます。「今まで一番美味しい食事だったかもしれない」と思いながら須賀を頼る事にしました。そしてアシスタント夏美と共に「ムー」というオカルト系雑誌の作成や須賀の身の回りのお世話として雇われます。帆高はもっぱら”100%晴女”の都市伝説について調査する毎日ですが、とても充実した時間を過ごします。
そんなある日、帆高はハンバーガーをくれた女性が怪しい男に引っ張られている場面に遭遇します。助けようとしますが、逃げ切れず咄嗟に銃を発砲し再び逃げ出します。そして辿り着いた廃墟ビルで、少女の名前が天野陽菜であること、バイトをクビになったこと、そして何より彼女が”100%晴女”という都市伝説になっている本人だった事を知ります。そして”お金”に困っている2人は”天気を晴れにする”という仕事を始めるのでした。
映像美に必ず”問題提起”をはめ込んでいるのが新海作品
とても美しい映像ですが環境破壊を思わせ、温かい男女の物語に見えながらも困窮と孤児についてが見え隠れ。荒んだ世界、狂った世界に対する警鐘を鳴らしながら、子供達の無限の可能性と大人の導き手としての役割を儚く、そして逞しく描いています。この”美”と”警鐘”を同時に表現する辺りが新海監督の妙ですね。
天気・空に意思を持たす作風は純和風。「天気なんて天の気分なんだよ」という台詞に納得。たかだか200年程度の観測を元に天候を語るのは”驕り”、だと気づかされます。そして天の為ではなく”他人の笑顔のため”に天気を操る陽菜は天の機嫌を損ねたのか、それとも天に選ばれたのか。それは結末を見るまでのお楽しみです。
足す必要も引く必要もない、完璧なアニメ映画でした
「天気なんて狂ったままでいいんだ!」と帆高が言い放つシーンで膝折れしました。誰かにとって他の何にも代わりのない存在になれるっていいですね。強い思いが伝わってくるパワフルなシーンに心やられました。帆高はこの発言によって自分が”何を背負うのか”を理解しています。しかし行動の後、須賀が「己惚れるなよ。」と重荷を背中から降ろします。大人として”任せとけよ”という態度を示した瞬間、更に僕の膝が折れました。
”アニメに何を求めますか?”というのが僕の永遠のテーマの一つ(クダラナイなあ・・・)。その答えの一つに”現実に起こらない事”を求めます。自分が想像できない世界を見るのがとても嬉しい。本作は時代背景と問題提起があり、大人・子供の対立や神羅万象の出来事。盛りだくさんな本作は泣いて鳴いて笑いました。その結果「天気の子」という作品が大好きになったのでした。
⇑ 新海作品は”雨”が似合う
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