物理的にも心理的にもハードな空間
見覚えのない部屋
オルダーソンは立方体の箱のような部屋で目覚めます。上下左右にハッチ式のドアが存在しており、開けてみると全く同じ部屋が見えます。赤く光る部屋からオレンジに光る部屋へ移動したオルダーソンですが、部屋に足を付けたその瞬間網状に張り巡らされたワイヤーが迫ってきました。そしてオルダーソンは小さな立方体の肉片と化してしまいました。
同じ頃、この箱に閉じ込められたメンバーは混乱していました。5人の男女が全く同じ服装で同じ部屋に集まり現状を相談しています。しかし水も食料もない空間のため、答えは”進む”しかありません。各部屋は白・青・赤・緑等に発光しており、さらに罠があります。5人は靴を部屋に投げ入れ罠の有無を確認しながら進みます。しかし進む程に明らかになるのは”絶望”だったのです。
統一性のないメンバー
目的を探るには”集められたメンバーの共通点”がヒントになります。しかしこの時確認した内容は、精神科開業医の女性ハロウェイ、警察官の黒人男性クエンティン、数学専攻の女子大生レブン、初老のサラリーマン男性レン、建築業者の男性ワースと全く関連性が見つかりませんでした。
知らぬ者同士で性別・体力にもそれぞれ違うメンバー。最初は協力するしかない、と理解を示していましたが徐々に自我が暴走していきます。水分不足・空腹・閉塞空間と極限にまで追い込まれた精神状態になると、当然体力のある者が優位に立っていきます。しかしこの空間から抜け出すに“脳筋”は無力なようです。
進む先に未来が見えない
罠の有無と発光色が異なる以外、どの方向に移動しても同じ形・大きさの部屋で構成されています。しかもどこまで進んでも部屋が存在しており、いつかは罠部屋と対面します。智恵と体力で回避もできますが、それも時間の問題。そもそも出口があるのかどうかもわからない空間に、観ている僕達も絶望しか感じない作品でした。
展開と結末が想像しにくい作品ですが、人間の醜さに関しては想像通り。罠自体は当然恐怖対象ですが、やっぱりヤバイのは人間です。こんな世界では規律や法律なんて無意味。部屋を進むには賢い方が良いのですが、優位になるのは強い奴というちっちゃい社会ができていました。そしてこのちっちゃい社会を通じて、世界では”真実が明かされるなんてほとんどない”と訴えかけて来る作品です。低予算映画ってやっぱりアイデアが詰まってますね。
⇑ 日本だって低予算アイデアあるよ!
コメント も、文句以外で・・・