コーエン兄弟の上手い政治警鐘作品
映画製作は大変なんだ
1950年代ハリウッド、大手映画会社キャピタル・ピクチャーズに勤めるエディ・マニックスは映画製作から不祥事始末までこなす”映画界の何でも屋”。その優れた処理能力は他会社からも高い評価を受けており、好条件での引き抜きも少なくありません。現在の仕事では家族との時間が取れないため、転職を考え始めていました。
そんなエディが現在手掛けている超大型プロジェクトが「へイル、シーザー」です。聖書を題材とし、歴史・宗教を取り込んだこの作品の主人公に抜擢されたのは大スターのベアード・ウィットロック。撮影が問題なく進んでいたのですが、ある日、突然ベアードが誘拐されます。その情報を聞き混乱するエディですが、当のベアード本人は誘拐されたとは思えない暮らしを楽しみます。果たして映画「へイル、シーザー」は完成するのだろうか・・・
見どころの一つは”踊る水兵さん”
作中ダンスシーンでテンションを引っ張り上げてくるのはチャニング・テイタム。ミュージカルスター役として登場したテイタムは、その鍛え上げられた肉体を惜しむことなく披露し、キレッキレッのダンスで盛り上げてくれます。共演者たちとの息が合ったチームダンスは圧倒的で、観る者全てを魅了してしまいます。
ダンスに関してはマジック・マイク等の他作品でも定評ありですが、本作では歌声も披露します。これがなんと美声!!ゴリッゴリッの身体に甘い歌声と、そのギャップが強すぎて衝撃でした。男性目線で観ても”かっこいい・・・”とうっとりしてしまうような6分間でした。
ヘイル、シーザー! (吹替版)
当時の映画界と政治界の関係を皮肉る
コメディ=政治への皮肉という王道構図をしっかり作っていました。どちらかに傾倒するこなく、中立的な立場で共産主義の考え方や行動理念なんかを軽く紹介しています。本来は恐ろしいとされる”赤狩り”なのですが、しっかりコメディ化しており必要以上に”共産主義は危ないもの”という煽りも行っていない辺りが好みでした。
資本主義や共産主義、時代背景や映画の利用なんて事を学びながら笑えるタイトル。複雑な事を勉強していなくても楽しめますし、なんといってもジョージ・クルーニーにスカーレット・ヨハンソン、チャニング・テイタムにジョシュ・ブローリンと豪華俳優陣が目にまばゆい。歴史を知り俳優陣に舌鼓を打つ、そんな「へイル、シーザー」は50年代ハリウッドを愛情たっぷりに皮肉っていました。
コメント も、文句以外で・・・