のし上がれないサーカス物
野心家の歩み
父と家に火をつけ燃やしたスタン。途方なく街を歩いていると、とある男に目が行きます。何故か気になり後をつけるとテントに辿り着き、中では生きた鶏を食べる”獣人”が登場。しかし見世物料が払えないスタンは小屋から逃げ出して裏側へ向かい、そこで団長クレムに見つかり、そのまま雇われます。
読心術ショーのジーナをアシストすることになったスタンは、読心術と突如見せた幽霊ショーに興味を持ちます。教えて欲しいと懇願しますが幽霊ショーに関しては「ダメだ。これは手を出してはいけない。」と断られ読心術を学びます。同時に電気ショーを担当する女性モリーに「君とならもっと稼げる。」と誘い、2人は独立を決心。そして華やかな世界へと踏み入れるのですが、スタンは禁断の幽霊ショーを始めてしまうのでした。
出し物満載で”悪夢のような見世物小屋”
本作はサーカスではなく”見世物小屋”。1939年という時代もあって、内容的にはかなり猟奇なモノです。モリーが担当していた電気ショーは水着姿で電気イスビリビリ程度ですが、獣人は生鶏をほうばります。更に奇形児のホルマリン”エノク”という出し物もグロい系です。これはグレイテストショーマンでバーナムが最初に作った美術館と同じコンセプトです。
見て面白いというより”珍しい”とか”下がいて安心”というのが”見世物小屋”の特徴。唯一技術や学びが必要な出し物が読心術でした。そして応用版の”降霊”ショーはスタンの心を掴みます。むしろ降霊メインで学びたかったですが”やってはいけない”なんて・・・
”押すな押すな”は誘い文句です
相手の心を射抜くような降霊術は”金の臭い”がします。実際ジーナも過去に大金をせしめたと話します。しかし今はこの見世物小屋に辿り着いた・・・。このことから”やってはいけない”という話を察するべきだったのです。まあ、”やるな”って言われるとどうしても・・・ね・・・。禁忌である、金になるという甘い誘いには勝てませんよ。
ダークな世界観に惹かれて鑑賞してみると、久しぶりのブラッドリー・クーパーさん。2枚目筋肉俳優として推しの彼ですが、同時に”微妙な作品”でも大活躍。本作も紛れる事なくそんな感じで、あと一つ何かあれば名作という際どい辺りを彷徨ってくれました。この成功しそうで出来ない役柄はクーパーにピッタリです(褒めてる)。
コメント も、文句以外で・・・