入れ替わり作品の傑作
運命は”銭湯”で
凄腕の殺し屋コンドウはヤクザの依頼で岩城社長を始末します。暗がりでコンドウの仕事ぶりを見ていたヤクザの部下は恐れ慄き賞賛します。そんなコンドウも癒しが必要。渋滞に巻き込まれ動けないため近くの銭湯へ向かいます。
同じ頃、貧乏暮らしをしている役者志望の桜井武史は、多額の借金に疲れ果てボロアパートで首つり自殺を行います。しかし上手くいかず失敗。目の前にあった回数券を手にとりあえず銭湯へ向かいました。
2人は同じ銭湯に向かいますが、着いて早々コンドウが石鹸で滑り大転倒。気を失って救急車で運ばれてしまいます。現場に居合わせた桜井はコンドウと自分の鍵をすり替えます。そしてコンドウの所持品を確認してみると、そこには大金がありました。借金をコンドウの金で返し、入院しているコンドウの元へ謝りにいきます。するとそこには「記憶がないんですよね。どうやら自分は桜井武史というらしくて。」と記憶喪失になっています。桜井はこのまま入れ替わってしまおうと、そのまま帰ってしまいました。そしてコンドウの仕事を知ることに・・・
シナリオとキャストが秀逸な内田作品
原作小説の設定に内田監督の味付けが合ってました。記憶喪失の殺し屋×貧乏な役者の入れ替わりはベタですが、畳みかけて来る展開の速さが飽きさせません。メインはこの2人の遠巻きな絡みなのですが、そこに現われた水島香苗というヒロインが更に運命を狂わせていきます。
この水島役は広末涼子。超真面目なOLで色気とは無縁ですが、芯が強くコンドウを支える姿は可愛いの一言。コンドウ役は香川照之で殺し屋と記憶喪失で弱気な男という、ほぼ2役をコミカルに真摯に演じています。良い俳優なんですよ・・・。そして桜井役は堺雅人。今回は中々のクズ人間を演じていますが、妙に馴染んでいるのが不思議。この面々で内田作品なら面白くないはずがない!
生真面目だからこそ出来た仕事
完璧を要求されるコンドウの仕事は”計画性”が命です。更に予想外の事態における対応力や作戦遂行のための生真面目さが必要でした。なので記憶がなかったら良い社会人、という姿にほっこり。むしろ善良なはずの役者志望の方は、何をやってもダメ人間という対比がコミカルでした。
内田作品には”大どんでん返し”が付きもの。伏線回収も整っており、最後には良い意味での裏切りがあります。最後は誰も不幸になっていない、というところもこの監督の良いところです。友情と愛情と色々と入り混じって迎えるエンディングに大満足の本作。邦画コメディの傑作は「名探偵コナン」とコラボし、「韓国版」も好評と大活躍です。
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