洋画に追いついたシリアルキラー作品
殺人現場に居合わせた漫画アシスタント
漫画家を目指す山城圭吾。作画は高い評価を受けているのですが、持ち込み先の出版社からは「リアリティーがない」と一蹴され、漫画家の夢を諦めます。漫画アシスタントも辞める決心をし、最後の仕事として「幸せそうな家を描く」依頼を受け、ある一軒家を見つけスケッチを始めます。
一軒家からは大音量のオペラが流れており、隣人から「五月蠅いから音下げてよ」と怒鳴られます。山城は「この家の者じゃない」といいながらも室内へ。リビングで衝撃を受けます。一家4人がイスに縛られ、めった刺しにされています。恐怖に震えながら見えたのは庭で呆けるピンク色の髪をした男でした。そして山城はこの事件を題材に「34(さんじゅうし)」を描き漫画家として大成します。そんな山城にピンク色の髪の男が近づいてくるのでした。
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秀逸なサイコパスキャラ
ピンクの男は「SEKAI NO OWARI」のFukaseですが、気持ち悪い(誉め言葉)。こいつが今まで世間に放たれていて、誰も何も思わなかったの?と考えてしまいました。「シリアルキラーは身近にいる」と感じさせる恐ろしい雰囲気を纏った作品で、邦画シリアルキラーとしては滅茶苦茶好みです。
ちゃんと「サイコパスの殺人には原因とルールがある」ことを明確にしています。そして本人の成長過程、原因となった環境への追求がされ「こうなった」という味付けになっています。終始その佇まいが「異常者」であったFukaseは見事にデビュー作で「名優」と位置づけられました。今後に期待しますが、また「サイコパス」も見せて欲しい!
山城圭吾に狂気はなかったのか
山城がピンク髪に言われた「お前だって漫画でいっぱい人殺して楽しんでる」という言葉に驚きます。これって現実と仮想の違いがわからない人の発言です。しかし描いている山城もどこか「ギクッ」っと感じたようで、元々何かの「願望」はあったかもしれません。人間の奥には何があるのかわからない、という警鐘も感じます。
容赦ない殺人鬼が自分の作品を作っているかのような振舞。観るものを引き込むような残虐性と異常性はサイコパス映画好き代表(勝手に)として絶賛します。漫画家と殺人鬼の合作ともいえる漫画「34(さんじゅうし)」。これは作中作品なので存在はしないのですが、実際に作ってくれないかな・・・とても読みたくなります。
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