銃社会と陪審制度への強い警鐘作品でした
銃乱射事件裁判を利用して大金持ちに
とある株式ブローカーが出社すると、同時に元従業員が社内で銃を乱射します。そして株式ブルーダーも命を落とします。その2年後、この銃乱射事件に関してブローカーの妻ローアは銃器メーカーに対して裁判を起こします。それは”売る側”の管理責任を問う裁判として世に知れ渡ります。
そしてローア側、メーカー側が共に弁護士と陪審コンサルタントを雇い裁判を待ち構えていました。そんな裁判の陪審員候補として選ばれたおもちゃ屋店長のニック。彼はわざと興味のないそぶりを見せ、そして狙い通り陪審員の1人に潜り込みます。ニックと恋人マーリーは陪審員の評を操り、そして大金をせしめる計画を立てていたのでした。
危険な陪審制度
本作は銃乱射事件裁判を扱いながらも、焦点は”陪審員制度”にも向けられています。アメリカの陪審員制度は審理状況を見ながら有罪・無罪を判断するのですが、ここには有識者等は参加しません。裁判官も助言等ないので、完全に法廷で見聞きした情報だけを陪審員同士で共有、意見交換し評議して決める方式です。これは”誘導者”がいない事が前提の制度です。
この誘導者の存在が本作の見どころ。陪審員の心を掴み、結果を自在に操れてしまうこの存在はどちら側にとっても恐ろしい存在です。しかも今回は超大手メーカーと株式ブローカーの奥さんということで、巨額の裁判となっています。共に負けられない裁判に現れたこの誘導者は陪審員制度の惰弱性を見せつけることになります。
メーカーは売ったら終わり?
販売メーカーとしては売ったら責任は手放したい所。今回のような事件に使用されるとは”思いもよらなかった”という態度です。気持ちはわかります。しかしこの奥さんは”売る責任”を追及しています。危険物を”誰でもいいから金さえ出せば良い”という販売方法に問題を提起した、後の産業に影響を与える裁判となっていました。
ヒリヒリするような駆け引きが行われており、特に大手メーカーのコンサルタントは悪役としてマフィア並みの包囲網を持っていました。こういう陪審員コンサルタントという存在は企業・メーカーには心強いことでしょう。一人一人を調査し、つけ入る粗を見つけては脅す・ゆするという手口に、真っ向から人間性を問うマーロの弁護団。ニックはどちらから金を奪い、そしてどちらに勝利を運ぶのか・・・
コメント も、文句以外で・・・