テーラーは消えていく職の一つ・・・
2代目テーラーは真面目過ぎる
ギリシャのアテネで高級スーツの仕立て屋、通称テーラーとして働いているニコス・カラリス。2代目として親から譲り受けた仕立て屋で客を待ちます。しかし店に客がやって来ることはありません。ニコスの父タナシスが顧客にしていた人たちも既に亡くなり、新顧客もないまま銀行から借り入れも不可能になっているのが現状でした。
そして銀行から差し押さえを宣告されたショックでタナシスは入院することになりました。父の心労軽減の為にも店を繁盛させたいとニコスは考えます。そして思い立ったのが”スーツ屋台”。露店で販売と仕立て依頼を受ける事にします。そこで女性から「女物はないの?」と聞かれ、”女性の依頼を受けるべきでは”と考えたニコスは女性物の勉強を始めるのでした。
”仕立てる”のがお洒落だった
今では既製品が普通になった紳士服。ビジネスや冠婚葬祭に活躍し、普段は取り出すことのないお洒落着です。しかし”ジェントルマン”と自負されている方々にとっては普段着。本作のテーラー親子は普段着としてスーツを愛用しています。胸元のハンケチとかレトロな雰囲気でカッコイイ。
しかし何分”手作業”がウリの”仕立て”。さらに値段が高い事から作中でも現実でも敬遠されていきます。テーラーに限りませんが、大量生産が主流でオーダーメイドが”贅沢品”となった現在では廃れていく商売です。”今までのやり方”で仕事してきたタナシスの目には、”これからのために変える”ニコスのやり方はどう映るのでしょうか。
変化を楽しむ
生粋のテーラーであるニコスの選択は、”どんな服でも仕立てることに違いはない”でした。既にスーツ専門テーラーではない仕事を請け負いますが、そこにはニコスなりの誇りを感じます。今までの経験と知識を新しい分野に広げるニコスは、苦労してても楽しそうです。”新しい”を楽しめるニコスに作れない服なんてありません。
廃れる小店舗を舞台に仕事に恋愛にとドラマが展開されます。ほろ苦いけど温かい、ちょっと不思議な雰囲気。50歳になった男の物語ですが、希望も感じさせるストーリーがニクい。いくつになっても自分が出来る事を広げていくニコスに憧れと共感を持ちました。
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