感情豊かな音楽が聴こえる
辞めた理由と再開のきっかけ
青野一は音楽家である父青野龍仁から厳しいレッスンを受け、バイオリンのコンテストで数々の賞を取った天才少年です。しかし父龍仁は音楽に没頭し、家庭を顧みない上に不倫をし離婚してしまいました。この出来事をきっかけに青野はバイオリンを辞めます。そして中学生になり体育の授業で怪我をした青野は、保健室で「バイオリンの音」を耳にします。
素人とすぐに分かる音ではありますが、それは確かにバイオリン。弾いていたのは秋音律子。青野は担任から秋音にバイオリンを教えるよう勧められ、乗り気ではないのですが一生懸命な姿に心打たれ教えることになります。そんなある日、秋音にせがまれ青野は久しぶりにバイオリンを弾きます。川の傍で奏でたバイオリンは、歩く人々の足を止めるほど美しい。秋音も強く感動します。しかしもっと感動したのは青野自身でした。バイオリンが好きだと自覚した青野は音楽の盛んな海幕高校のオーケストラと出会い、受験を決意するのでした。
ソロ演奏とオーケストラ演奏の違い
オーケストラで求められるのは「調和」。誰か一人に合わせるのではなく、周りの音を聴き一体となって美しい音を引き出さないといけません。海幕高校のバイオリンはファースト・セカンドと2人で行いますが、両者共に正確に足並みを揃えて2人でバイオリンという楽器を表現していきます。「集団の統制された美しい音」がオーケストラでは迫力を増すのです。
青野はソロバイオリニストとして賞を取ってきた天才です。特に圧倒的な迫力の表現力が武器で、聴くものに感動を与えています。しかしそれは「自分のテンポ」で演奏が出来ることが前提となります。強すぎる「個性」はオーケストラにとっては不安定要素。強みにも弱みにもなり得る諸刃の剣のような存在になっています。
憎んでいたのはバイオリンではなかった
青野はトラウマからバイオリンを避けていました。しかし少年時代に「音が好きだ」と輝いていた時と何も変わってはいません。好きと再確認するきっかけがなかっただけでした。家庭の出来事を父のせい=バイオリンのせいにしてしまっていた少年は、やっと本当の自分と向き合いそして前を向く事ができたようです。
高校生になり秋音との関係にも進展が・・・と思いきや、やはり現れるライバル。恋も部活もライバルだらけですが、登場人物全員にドラマがあり贔屓しにくい!個性が強いメンバーが、個性を引き出しながら音楽を合わせていきます。オーケストラに興味が無くても読めてしまうこの作品。評価するのに適した言葉は「これ、本当にいい漫画だよ!」です。
↑ 胸が目頭が口の中が熱くなる!そんな漫画はこちらから
待望していたアニメ化まで・・・
漫画の雰囲気で感じた、「今しか出せない音」が聴ける・・・。2023年春にEテレで放送が決定。青野の美麗バイオリンや、秋音が成長していく音の変化が聴けてしまいます。青野に関わらず登場する若者達は、悩みと出会いを繰り返して成長していきます。海幕高校の部員達は、部活以外でもオーケストラしてました。
コメント も、文句以外で・・・