とても評価しづらい作品
退屈している少女に何かが起きた
子供部屋で退屈そうにしている少女アリス。お茶に石を投げて時間を潰していると突然、ガラスケースの中に置かれたウサギの人形が動き出しました。隠していた赤い正装衣装に着替え、裁断ハサミを取り出すとガラスを割り外に出ます。そして懐中時計を取り出すと「大変だ、また遅刻だ。」と呟き、机の引き出しの中に入って行ってしまいました。
好奇心に駆られたアリスもウサギに続いて引き出しに入ります。着いた先ではウサギが”おがくず”を食べていました。アリスが声を掛けると逃げ出してしまい、姿を見失います。さらにアリスは尻もちを突いてバケツにはまると、バケツの底が抜けて地下深くまで移動することに。そして辿り着いた先には大・小のドアがあり、アリスはここから更に不思議な体験をしていくことになります。
全てが不気味なアリス作品
アリス役クリスティーナ・コホウトヴァーは可愛い。クラシックな雰囲気も悪くない。しかし他はあえて不気味に作り込まれたパペットアニメでした。アリスと言えば”遅刻ウサギ”ですが、本作は元が人形であり中身がオガクズ。何故中身がわかるのか、それは登場時から腹部が裂けているからです。いきなりヤバそうでしょ?
人間はアリスしか登場せず、色々な”動物らしき人形”が蠢く世界で、何かを口にするたびにアリスの体に異変が起こります。しかしその口にするものがインクに見えるんです。インクなのかな?匂いが良いのかインク?をグビグビ飲む姿に引きました。これらは全て序盤ですので・・・まだまだ続くんですよ・・・この世界観・・・
大事なモノを引いたら子供向けじゃなくなった
本作はアリス特有のメルヘン(御伽のような)チックを削除していました。一番大事と思われた世界観そのものが失われたような感覚で、”動物の擬人化という可愛らしい”はずの箇所は、”パペットの不気味さ”に変革されています。しかしこの作品は間違いなく”不思議の国のアリス”なのです。
不思議の国を思惑忠実に再現しており、動物達もちょっと造形が違うだけで割と原作に近い出演の仕方。リアル感が強いものの、子供の空想ファンタジーという概念に変わりありません。奇妙で不気味で何故か美しい、そんなアリスを希望ならこのヤン・シュヴァンクマイエル監督のアリスで決まりです。
コメント も、文句以外で・・・